復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月29日「訓練空域、沖縄を包囲/政府が地位協定で米に提供」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月29日の琉球新報1面トップは、「訓練空域、沖縄を包囲/政府が地位協定で米に提供/高性能爆弾も投下/県原水協が実態を公表」との見出しで、米軍の軍事訓練空域見取り図の大きく掲載している。記事では「空域は全部で15カ所に区切られているが、これら空域のもと45海域、135地域が米軍訓練区域にとして使用されているといわれ、復帰したというものの、米軍事極東戦略の『キー・ストーン』である『基地・沖縄』は、依然として全土が米軍事機構にハメ込まれ、基地は、ますます強化に向かっていることを物語っている」と記している。

 海洋博開催に向けた国会の現地調査団の会見内容を伝える記事では「衆院商工委調査団/伊江島空港利用も/海洋博の人員輸送で検討」との見出しを掲げている。記事では、調査団の団長の言葉として「〝東京・伊江島間直行便〟の計画は非公式に政府内部でも話し合われている―と言われ、同派遣団は『この計画が実現できるかどうかについて県当局,関係市町村から意見を聴取したい』としている」と記している。

 11月に那覇で開かれる人権擁護大会に臨む日弁連の沖縄調査団の会見内容を伝える記事は「公害企業入れるな/危険な基地との併存/日弁連、開発計画で警告」との見出しを掲げる。

 開催中のミュンヘン五輪に関して「新垣、1回戦で敗退/ニコルフ(ブルガリア)に判定負け/ミュンヘン5輪3日目」との見出しで、沖縄から初めて五輪出場したボクシング・ライトフライ級の新垣吉光選手の健闘を伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。