南西諸島島しょ部防衛でミサイル研究、部隊展開 防衛省概算要求、過去最大の5兆5947億円


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防衛省

 【東京】防衛省は31日、2023年度予算概算要求を決定した。過去最大の5兆5947億円を計上し、金額が未定の「事項要求」も多数盛り込んだ。沖縄を含む南西諸島などの島しょ部防衛のためとして、新対艦誘導弾の研究に450億円を盛り込んだ。「島しょ防衛用」として「高速滑空弾」の量産化に向けた費用に166億円を計上し、金額を示さない「事項要求」も含めた。南西諸島などへの「機動展開訓練」のために約3億円も計上しており、防衛力の「南西シフト」がさらに進む見込みだ。

 防衛省は「5年以内の防衛力の抜本強化」を掲げる政府方針を受け、長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の強化など7本柱を強化対象に据えた。「島しょ部防衛用」と銘打つ超音速・長射程の「高速滑空弾」量産化や「新対艦誘導弾」の開発は、この強化方針に沿って進められる。

 「機動展開能力の強化」として南西諸島など島しょ部への部隊展開を目指し、小型船舶2隻、輸送機1機の取得費用としてそれぞれ161億円、256億円を求めた。多用途ヘリコプター8機の取得費用は177億円に事項要求を加えた。

 23年度末には、与那国駐屯地に電子戦部隊を配備予定で、関連施設の整備費用などを事項要求で求めた。

 そのほか、那覇駐屯地にヘリコプター部隊の庁舎新設の必要経費を事項要求、勝連分屯地の施設整備費用を約13億円と事項要求で求め、石垣駐屯地の射撃訓練場の整備費用を事項要求とした。
 (安里洋輔)