下地島の海底洞窟で新種エビ発見  県立芸大・藤田教授ら はさみ「ガンズゥー」 


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 県立芸術大教授で海洋環境学が専門の藤田喜久(よしひさ)氏らは9月1日までに、宮古島市下地島の海底洞窟で見つかった小型エビ「スベスベオトヒメエビ類」の個体が新種と認められたことを発表した。論文が国際的な学術雑誌「ズータクサ」電子版の8月18日付に掲載された。新種の和名は形態的な特徴から、頑丈を意味する宮古島の言葉を冠し「ガンズゥースベスベオトヒメエビ」となった。

 スベスベ―類は熱帯・亜熱帯海域のサンゴ礁、岩礁域で22種が確認されている。うちインド洋―西太平洋に10種が分布。日本では主に沖縄で6種が発見されている。

 ガンズゥー―は2017年8月、下地島の名勝「通り池」近くにある海底洞窟で採集された。個体は雄1匹で、甲長0・36センチ、体長約1センチ。腹部の形態がこれまで確認されている22種と異なっていたほか、はさみが他種は細長いのに対して、ガンズゥー―は太く頑丈で、和名の由来となった。

 海底洞窟の動物は暗い環境に適応して目を退化させた特殊な種や古い起源を有する種、深海にしか生息していない種が知られる。一方、狭く暗い中で行われる調査は危険で困難を伴う。高い潜水技術が求められるため、調査は進んでいない。

 藤田教授は「海底洞窟での調査はカリブ海が有名だが、沖縄はカリブ海と同じ石灰岩の洞窟が多数ある」と指摘。カリブ海の洞窟が長さ数キロとなるのに対して「沖縄の洞窟は長さ数百メートルで、カリブ海と同じような多様な環境に多様な動物がコンパクトに生息している。進化や分布を調べる上で有望な海域だ」と沖縄での調査の意義を強調した。 (安里周悟)