最大動員1万人、長野の大規模な壕にがく然 沖縄戦が「持久戦」と言われた意味を実感 交流ツアー


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松代大本営地下壕構築に多くの朝鮮人労働者が動員されたとみられることを説明するNPO法人松代大本営平和祈念館の北原高子事務局長(奥)=2日、長野市松代町

 沖縄から長野を訪れている「戦争の記憶を継承するための沖縄―長野市民交流」のツアー参加者は2日、NPO法人松代大本営平和祈念館の北原高子事務局長などの案内で、松代大本営地下壕(松代壕)の象山壕に入った。本土決戦のために造られた大規模な壕に一行は打ちのめされた。「時間稼ぎや持久戦の沖縄戦の意味をここに来て、初めて実感した」。「国体=天皇制」を守るための沖縄戦だったという実感を口々に語った。

 松代壕は、5800メートル余りのうち約500メートルを公開している。北原さんの説明によると、構築に動員されたのは最大約1万人とされ、約7千人が朝鮮人だった。朝鮮人労働者の話として、三角兵舎で寝泊まりし、寒さに凍えていたという。命の危険にさらされながら掘らなければならなかったことを「想像してほしい」と呼び掛けた。

 交流に参加している沖縄市平和ガイドネットワーク代表世話人の森根昇さん(81)は「象山壕の大きさは想像以上だ。国体護持のため3カ月近く沖縄戦を戦い、犠牲を生んだ構造がはっきり分かった」と驚いた様子だった。

 女性(62)は「ガイドの説明は沖縄にも朝鮮の方々にも寄り添っていた。私たちも沖縄戦を伝える時にアジア全体を見る必要がある」と話した。

(中村万里子)