【動画あり】シャンプー、車いすのままできます DIY好きな理容師が試行錯誤して装置を開発したワケ 「格差ない環境を」 沖縄・浦添


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車いすを利用したままシャンプーやカットが受けられる「EX Stage」=浦添市城間の理容室「EXCEED(エクシード)」(提供)

 【浦添】浦添市城間で開業30年目を迎えた理容室「EXCEED(エクシード)」。オーナーで理容師の豊里智(さとし)さんが約1年をかけ、車いすに乗ったままシャンプーやカットが受けられる自作の電動式シャンプーユニット「EX Stage(ステージ)」を開発した。豊里さんは「車いすを利用しているお客さまも誰でも気軽に利用できる店でありたい。格差のない環境を提供したい」と思いを語った。

 理容室や美容室の店内にあるバックシャンプー方式のシャンプー台は、高さが固定されているのが一般的だが、豊里さんが開発したシャンプー台は、高さが調節でき、キャスター付きで移動できるのが大きな特徴だ。車いすを利用している人がシャンプーを受ける際に豊里さんはこれまで、シャンプー台専用のいすまで体を抱きかかえて移動していたという。しかし、「それではお客さまが気を遣ってしまうのでは。格差を感じているだろう」と思い始め、車いすから移動せずにシャンプーやカットが受けられる装置の開発に取り組んだ。

 豊里さんが開発したオリジナルの「EX Stage」は、立体駐車場などで活用されているターンテーブル同様の仕組みを取り入れ、オリジナルのスロープを使って車いすをターンテーブルに乗せる。ターンテーブルを回転させると車いすの向きを自由に変えることができ、シャンプーをする際は車いすごと体を斜めに倒せる装置だ。シャンプー台は、利用者の座高などに合わせて上下に高さを調節できる。シャワーヘッドは電話の受話器を改良して製作したといい、遊び心も満載だ。

 豊里さんは日ごろからモノづくりが大好きで店内のインテリアのほとんどが手作り。来店者に楽しんでもらいたいとの気持ちだという。店内のエアコンには廃車になった自動車のフロント部分を再利用して製作したエアコンカバーがあるなど、「雑貨屋さんと間違えられるほど」とほほ笑む。シャンプーに最適の角度を追究するなど試行錯誤を繰り返し、設計から製作まで全て手作りで完成させた。

 「仕事の合間に製作したため、お客さまに迷惑をかけたがようやく完成した。予約して気軽に来店してほしい」と話した。「EX Stage」は特許申請中で、多様に活用されることが期待される。問い合わせ、予約はエクシード(電話)0120(489)520。
 (中川廣江通信員)

「EX Stage」を開発・製作した豊里智さん=浦添市城間の理容室「EXCEED(エクシード)」(提供)