日米安保や防衛力、憲法9条 、立候補者・予定者はどう考える? 沖縄・統一地方選アンケート


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 琉球新報は、統一地方選の29市町村議選の立候補予定者に対して、政策アンケートを実施し、8月25日までに約500人から回答を得た。日米安全保障条約の評価や憲法9条の在り方についても見解を聞いた。憲法9条については「見直す必要はない」が多数を占め、憲法9条に対する高い評価と改憲への慎重な姿勢が見られた。一方、日米安全保障条約については立候補予定者の中でも保守系、革新系で評価が割れた。(’22統一地方選取材班)


<日米安全保障条約>保守、革新で評価割れる 無回答140人 「見直し必要」も
 

 立候補予定者に「日米安全保障条約の評価」について聞いたところ、「評価する」が176人(35.2%)、「評価しない」が169人(33.8%)とほぼ拮抗(きっこう)した。「その他」は15人(3%)、無回答が140人(28%)だった。

 「評価する」は主に保守系の立候補予定者が回答し、「米軍なしでは守られない」(60代現職)「東アジア地域などの平和と安定に資する」(40代現職)「米軍が抑止力となり、平和と安全につながっている」(20代新人)など、近隣諸国への抑止力となっていることなどを理由とした。

 「評価できない」は主に革新系の立候補予定者が回答し「米国優先であり、対等に見直すべき」(60代現職)「米軍基地の7割以上が沖縄に押し付けられている」(30代新人)「沖縄に過重な基地負担を負わせている」(20代新人)など、沖縄の米軍基地の集中や米軍の事件、事故などを理由とした。

 中には「評価する」一方、「日米地位協定の見直しが必要」(50代新人)などの回答も多数あった。


<日本の防衛力>「強化すべき」最多47% 世界情勢への危機感背景

 日本の防衛力についての質問には、「強化すべきだ」が47.4%(237人)と、「強化すべきではない」の28.8%(144人)を18.6ポイント上回った。ロシアのウクライナ侵攻による世界情勢の不安定化が背景にあるとみられる。その他は3.6%(18人)、無回答は20.2%(101人)だった。

 本社加盟の日本世論調査会が実施した平和に関する全国世論調査によると、日本が今後、戦争をする可能性があると回答した人は計48%に上った。さらに、岸田文雄首相は緊迫する国際情勢を踏まえ、防衛費大幅増を目指している。

 「強化すべきだ」と回答した立候補予定者からは「中国の脅威を考えるとある程度の防衛力は必要」や「中国、北朝鮮がいつ攻めてくるか分からない」(40代現職)との声があり、中国など近隣諸国の軍事的動向に危機感を持つ意見が大勢を占めた。

 一方、「強化すべきではない」とした立候補予定者からは「防衛予算を強化するより、他国との友好外交に力を入れるべきだ」(30代現職)や「軍拡競争につながり、結果的に戦争につながってしまう」(40代現職)など、軍備拡大による戦争を懸念する声が相次いだ。


<憲法9条>変える必要「ない」44% 前回比減、「ある」は27%

 戦争放棄や戦力不保持を定める憲法9条の在り方については「変える必要はない」が44.6%(223人)と最も多く、「変える必要がある」の27.4%(137人)を上回った。「その他」は4%(20人)、無回答は24%(120人)だった。回答者数などは異なるが、前回18年に実施した立候補予定者アンケートで、憲法9条改正の質問では「そのままでよい」が51%、「変更するべきだ」は15.9%だった。

 「変える必要はない」と回答した理由について「憲法9条があるから、国際社会から戦争をしない平和な国として認められてきた」(60代現職)「地上戦を経験した沖縄だからこそ、平和憲法は守るべき」(40代新人)などの声があるほか、保守系の立候補予定者からは「自衛隊は必要だが、憲法を変えてしまうと有事になる恐れもある」(50代新人)などの回答もあった。

 「変える必要がある」の理由については「自衛隊の存在意義を明確にする必要がある」(40代現職)が目立ったほか、ロシアのウクライナ侵攻や中国船の尖閣諸島周辺の領海侵入などが理由で「現在の世界情勢を考えると、変える必要がある」(60代現職)などの回答も多数いた。

 一方、「その他」の回答の中には「国民的な議論が必要」(40代現職)などの声が多数あった。