復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉9月5日「自治体と契約拒否では米軍への給水を停止」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年9月5日の琉球新報1面トップは、「市町村との契約を拒否すれば、米軍への給水を停止/水道協会、強い姿勢打ち出す/きょう米側に申し入れ」との見出しで、米軍への給水で県企業局との直接契約を主張し地域市町村と水道給水契約を拒否し続けている米軍について自治体側が強い姿勢に出る方針を打ち出したことを伝えている。

 記事で沖縄水道協会の総会で管理官の説明として「さる8月30日に在沖米軍は各関係市町村に直接県企業局から給水を受けたいとの正式態度を文書で明らかにしてきた。米軍はさる5月10日に琉球水道公社のハーリー・W・ロンバード理事長と米国合衆国のジエムス・W・レイッソン契約官との間で給水契約を結んだことを根拠にしている」と掲げている。

 関連として「基地の安上がりねらう/米軍の滞納2億2千万円」との解説記事を掲載している。その中で「もし米軍があっくまでも県企業局からの直接給水を要求すれば沖縄返還協定6条の1に示されている『琉球水道公社は本土法にしたがって日本政府が引き継ぐ』との条項にふれ、それとの関連で本土法、県企業条例のあり方まで問われることになるわけで、日本政府間の高度の政治折衝が要求されることになる」と指摘している。

 衆院沖縄特別委員会調査団が沖縄に視察に訪れていることに関して「基地問題/3者で協議機関を/鯨岡団長が記者会見」との見出しの記事を掲載している。鯨岡兵輔調査団長の会見内容で「基地問題の取り扱いは復帰前と形が変わったが、いぜん問題は残っているので、現地(沖縄)に国と県と米軍3者からなる協議機関を設置した方がよい」などと紹介している。

 関連で鯨岡団長と屋良朝苗知事との会談内容を伝える記事も掲載している。見出しは「米軍の国内法順守強調/調査団、県当局と懇談」と掲げ、屋良知事が基地被害などの具体例を挙げて米軍に国内法を順守させる必要性を鯨岡団長に訴えたことを伝えている。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。