結婚式を挙げられなかった夫婦のために…学生が挙式・披露宴をプロデュース コロナ下で工夫重ね 沖縄ブライダルモード学園


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沖縄市在住の夫婦(中央)の結婚式・披露宴を企画実現した、沖縄ブライダルモード学園2年生の学生たち=8月、浦添市内(同校提供)

 新型コロナウイルスの影響で結婚式や披露宴の延期・中止が相次ぐ中、沖縄ブライダルモード学園(北谷町)の2年生約20人が式を挙げられなかった夫婦の挙式・披露宴を企画し、8月に浦添市内で挙行した。コロナ下で集まることが難しい中、学生たちは「大切な人たちが互いのつながりを感じられる時間をつくりたい」と願いを込めて2人の節目を祝った。

 学園では2年生の成果発表として、挙式や披露宴をプロデュースしてきた。会場の確保やヘアメーク、音響や照明、司会も全て学生がこなす。今回は沖縄市在住の夫婦のために、5月から打ち合わせを重ねた。

 悩みの種は、やはり新型コロナだった。準備を進める最中の7月20日、県内の新規感染者数が初めて5千人を超えた。学生にも濃厚接触者や体調不良者が出た。装飾品作りは各自が自宅で取り組み、打ち合わせは極力オンラインに切り替えて感染防止に努めた。

 本当に実施できるのか―。不安の声が関係者から漏れ聞こえ始めたが、学生たちは「未熟な自分たちを頼ってくれた2人の気持ちを形にしたい」と諦めなかった。式まであと1週間に迫った頃、追加の感染防止策として披露宴のプログラムを大幅に短縮した。

 新婦の母親が体調不良で急きょ不参加となり、新婦は肩を落としたが、友人をサプライズ登場させて驚かせた。母親には式の映像を送って幸せな時間を共有した。「コロナのせいで誰かががっかりしないよう」工夫を凝らした。会場に来られなかった人たちも、オンラインでつないだ画面から祝福した。

 式後、夫婦は学生一人一人に直筆のメッセージカードを書いて感謝を伝えた。学生の一人、比嘉夕依さん(19)は「コロナ下でも結婚式はできる。幸せを共有する方法を探すことが大切だと実感した」と、希望に満ちた表情で振り返った。宮里玲未さん(20)は「結婚式をつくり上げる、ブライダルの仕事の魅力を体感できた」と満足げだった。

 2人は県内のブライダル関係の企業に就職が決まっている。新型コロナで打撃を受ける業界だが、2人は今回の企画に携わったことで「新しい式、披露宴の在り方を探す楽しみもある」と瞳を輝かせた。
 (嘉数陽)