また台風、品薄に拍車 先島に再欠航の懸念 必需品優先輸送も追い付かず


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商品棚に並べたそばから売れていく精肉コーナーに商品を補充するスーパーの従業員=9日午後、石垣市真栄里のサンエー石垣シティ

 8日に発生した台風12号が沖縄地方に接近する見込みが強まり、暴風のおそれがある先島地方では、台風11号に続いて本島からの輸送が滞る懸念が高まっている。先島航路は7日から運航が再開され、生活必需品を優先して積載し品薄対策に当たっているが、12号が接近すれば品薄に一層拍車がかかりそうだ。 

 8月末から欠航していた先島路線は、南西海運が7日から、琉球海運が8日から運航を再開し連日物資を輸送している。生活関連の物資を優先し、建築資材や車両などの輸送は後回しにしている。琉球海運の担当者は「週明けは14日まで運航が厳しそうだ」と語り、南西海運の担当者も「生活物資を優先しているので、遅延している荷物はさらに遅れる可能性がある」と指摘する。

 路線再開で品薄が続いていた先島のスーパー各店には商品が入荷され始めている。イオン琉球は南風原町の本社から人員を送り、入荷作業の対応に追われた。

 石垣市のサンエー石垣シティでも、多くの買い物客が目当ての品を買い求めた。担当者は「店頭に商品を並べるとすぐに売り切れてしまう。11日以降は進路が読めず、どうなるか分からない」と頭を抱えた。

 サンエー本社の広報担当者は、船舶輸送量が拡大していることから生鮮品、水などを優先的に船便で送り、カップ麺など台風時に需要が高まる商品は航空便で送ることを検討していると説明。「台風の影響で15日頃までは品薄が続くだろう」と見通した。

 石垣市内では、近隣離島から訪れて大量に買い物をする様子も見られた。乾麺などの食料品を購入した竹富町竹富島の宿泊業、田端宏和さん(64)は「何軒も回ったが青物が買えなかった」と話した。

 本島地方への影響も懸念される。沖縄協同青果の担当者は、青果物について現時点での影響は限定的とみる。ただ、台風11号による高波で県外航路の定期船のコンテナが送り返されず県内に滞留しているという。「12号の進路次第だが、コンテナ不足で出荷できずに県外産が品薄となり、価格が上昇する可能性もあるだろう」と語った。

 台風11号による競りの中止で、飲食店にも影響が及ぶ。居酒屋チェーンを展開する「ちぬまんグループ」は11号に備えて食品を確保し、現段階ではメニューの変更はしていない。相次ぐ台風に与那正和専務は、生鮮品が日持ちしないことから「これからは冷凍マグロなど、冷凍商品の需要が高まるだろう」と推測した。 (小波津智也まとめ)