復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉9月11日「自衛隊募集、米軍基地への給水問題…知事、決断迫られる」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年9月11日の琉球新報1面トップは、「縦貫道路は来春着工/総工費800億円に/道路公団、建設準備を急ぐ」との見出しで、日本道路公団が那覇市首里から名護市許田までの沖縄縦貫道路の建設着工時期を伝えている。記事では「このうち石川市から名護市許田までは海洋博関連道路でもあり、昭和50年3月の開催までに間に合わせて突貫工事する」「とくに石川―名護間は、米軍基地2カ所にひっかかること、さらに地籍のはっきりしていない土地があることなどから用地確保が今年度内にできるかどうか注目されている」と記している。

 ハラ位置に配置された記事には「知事、決断迫られる/自衛隊募集、米軍基地への給水問題など/革新市町村、県との共闘体制を強化」との見出しで、懸案の事項に帯する屋良朝苗知事の意向決定に注目が集まっていることが報じられている。

 「〝職業軍人〟を拡大強化/防衛庁『有事』から『平時』体制へ」との見出しで、第4次防衛力整備計画(4次防)に続く5次防で「プロフェッショナル集団」へ拡大強化を図ろうとする防衛庁の狙いが紹介されている。

 このほかミュンヘン五輪の日本勢の成績で「男子バレー待望の〝金〟/柔道、篠巻敗れ、面目丸つぶれ」「あす大会閉幕」と紹介。ベトナム戦関連では「北ベで空中戦/米機とミグ機」との見出しで情勢を伝えている。

 ◇  ◇  ◇

 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。