第32軍壕「坑口だけでなく坑道も公開を」 展示室設置やガイド養成も要望 沖縄県の保存・公開検討委の平和発信グループ初会合


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第32軍司令部壕保存・公開検討委員会の提言に向け、意見を出し合う平和発信・継承検討グループの委員ら=12日、那覇市の県市町村自治会館

 沖縄県は12日、第32軍司令部壕保存・公開検討委員会の平和発信・継承グループの第1回会合を那覇市で開き、32軍壕保存・公開に向けた提言(たたき台)を示した。委員らは県に対し坑口に加え、坑道の公開を重ねて求めたほか、公開に合わせて展示室の設置やガイドの養成も要望した。

 県は2025年度までに第5坑口、26年度までに第1坑口公開を目指す方針で、優先して未発掘の第1坑口と第1坑道の位置特定調査を実施している。提言(たたき台)では「調査結果を踏まえ、段階的な壕の保存・公開に向け取り組む」とした。玉城辰彦氏(法律)は「入壕して得られる皮膚感覚が大事だ。坑口だけでなく坑道を公開し、平和学習に活用してほしい」と要望した。

 展示室の設置を求める意見も相次ぎ、吉浜忍氏(沖縄戦研究)は沖縄陸軍病院南風原壕と南風原文化センターとの連携を挙げ「近い所に学びの場があることが必要だ」と指摘。大城和喜氏(戦跡文化財)は第5坑口周辺への設置を提案した。

 米国立公文書館での資料収集や日本軍資料の活用を求め「なぜ沖縄戦に至ったのか、過去の日本のありようについて知ることが教訓につながる」(仲泊和枝氏・平和教育)という指摘もあった。文化財指定に向けた県の作業がスケジュールに組み込まれていないことに不満も示された。

 検討委員会は本年度末の知事への提言に向け、技術検討グループと平和発信・継承検討グループに分かれ、専門的に議論を深める。
 (中村万里子)