復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉9月14日「きょう収容通告、美里・嘉手納の地主79人に」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年9月14日の琉球新報1面トップは、「消費者米価、沖縄も値上げへ/〝据え置きは困難〟農林省が方針固める」との見出しで、米価審議会が政府案の範囲内で圧縮すべきだと答申したが引き揚げられる見通しの米価が沖縄でも引き揚げ方針であることを伝えている。記事では「ただ値上げの時期については諸物価の高騰の激しい沖縄の実情も考慮に入れて決めることにしている」と記している。関連で消費者団体が「値上げやめよ」と訴えて〝波状攻撃〟をかけている様子も掲載している。

 防衛施設庁が嘉手納、美里両村の米軍用地で契約拒否地主79人に公用地法に基づく強制収容の通知を出す方針で「きょう収容通知/美里、嘉手納の地主79人に」との見出しで報じている。記事では「強制収容の通知はさる8月12日、豊見城村当局と同村地主12人に対して行われたのに続いてこれで2度目。また、今回の強制収用通知を含めて91時主に強制収用の通知が出されるわけで、これは施設局が強制収用の通知が必要とみている1200人の地主(反戦地主)の1割にも満たない数字である」と記している。

 このほか「海洋博成功に協力体制/県・市町村連絡協議会/土地取得に全力/最悪の場合は用地変更も/宮里副知事」との見出しで、海洋博開催まで残り900日となって全市町村あげて取り組む方針を確認したことを伝える記事を掲載。関連で「予算面であと押し/自民商工部会、用地確保で態度決める」との見出しで、政府与党自民党も政府に働き掛け、予算面で全面的にバックアップする構えを示している記事も載せている。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。