「わずかな花米で大きなカリー(幸せ)を」 豊作願う伝統行事「イーヌ神」 うるま・伊計島


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豊年満作を祈る「イーヌ神」の行事をする伊計自治会の金城武蔵さん=2日、うるま市の伊計島

 【伊計島=うるま】豊年満作を祈願する神行事「イーヌ神」が2日、伊計島で行われた。本来は神人が行う行事だが、神人が高齢となったことに伴い、ここ数年は神行事を自治会が代理で執り行い、継続している。神行事の中心地となるヌンドゥンチ(ノロ殿地)で供え物の生米をお盆に広げ、東に向かって「イーヌ(稲)の神」と「トゥク(徳)の神」に拝みを行った。

 供えた生米はハナグミ(花米)となり10人の班長が各世帯に配布した。花米を受け取った内間始子さん(74)は「昔から伝わる大切な神行事なので、大切につないでほしい」と話した。

 伊計島では「わずかな花米を大きなお盆で受け取るとカリー(幸せ)が増える」と伝えられている。受け取った後は床の間やヒヌカン(火の神)に飾り、豊作を祈る習わしだ。昔は各家庭から湯飲み一杯の穀物を集めて拝みを行い「イーヌカミヘイヘイ」と声をかけながら、杯の穀物を世帯に配布していた。

 142世帯229人が暮らす島では、現在も毎月一つ以上の神事が行われる。玉城正則自治会長は「神行事は地域と人をつなぐ役割としても重要だ。便利な世の中でこのような行事が残っている意味に関心を持ってほしいし、できる限り続けたい」と語った。
 (石川優子通信員)