貸し切りバス収益大幅減 修学旅行中止が背景 沖縄県内19社


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 貸し切りバス事業を営むバス会社の収益が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅に落ち込んでいる。県バス協会(小川吾吉会長)が県内の会員貸し切りバス事業者19社への聞き取りを基にまとめた資料によると、新型コロナ流行以前の2019年度の総収入額が68億3810万円だったのに対し、20年度は82%減の12億4217万円、21年度は同76%減の16億3246万円と大幅に減少した。同協会は「全国で最も大きな打撃を受けている」と窮状を訴え、行政に対し事業規模に応じた財政支援を求めている。

 22年度の総収入は緩やかな回復傾向を見せているが、8月時点では19年度の同時期と比較して59%減の11億9222万円と、依然として厳しい経営状況にある。

 同協会によると、背景には修学旅行の相次ぐキャンセルがある。県内の貸し切りバスの主な収益源は修学旅行で、特に9月後半~12月は繁忙期を迎えるが、コロナの流行第7波を受けて多くの学校が修学旅行自体をキャンセルしたり、目的地を沖縄以外に変更したりするケースが目立つという。協会が聞き取りした事業者の多くが、現時点ですでに9、10月はそれぞれ約30%のキャンセルが出ていると回答した。

 小川会長は「平時は県内に約1千台あったバスはほぼフル稼働で、繁忙期には不足する日もあったほどだが、コロナ禍で予約は激減し、稼働率も大幅に低迷した」と指摘する。観光立県の県にとって観光需要の停滞は県経済全体の損失につながると強調し、経済を回し従業員の雇用を守るためにも「政府には1日も早く全国旅行支援を開始してもらうことで、観光需要の喚起を図りたい」と述べた。 (当銘千絵)