復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉9月18日「県有財産・施設で基地による被害23件」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年9月18日の琉球新報1面トップは、「反基地闘争を強化/社会党・共産党/拠点に『沖縄』『横田』『北富士』/〝横浜方式〟広げる/24日に全国基地闘争代表者会議」との見出しで、神奈川県の米軍相模原補給敞からの戦車輸送阻止闘争をきっかけに社会党と共産党が沖縄などを中心に反基地闘争を強化させる方針であると伝えている。

 その記事のそばには「基地による被害23件/県総務部/県有財産、施設で調査」との見出しで、基地周辺整備法に該当する県有財産や施設などで爆音や土砂流出などの被害について23件確認されたと県の調査で判明したことを紹介している。県の各部署や委員会、出先機関などを調査、記事では「基地によって被害を受けているのは①教育庁―爆音、騒音(防音工事、補助事業)被害件数5件②農林水産部―土砂の流出(排水路工事)1件③土木部―土砂の流出、海岸の荒廃、その他(護岸工事)12件④県警本部―爆音、合計被害件数23件となっている。これらはすべて基地周辺整備法第3条(障害防止工事の女性)に該当するが県警本部の爆音(嘉手納警察署、同大通派出所、同水釜派出所)は防音工事が学校、病院、保育所、老人ホームなどにしか適用されないため補助事業の対象とならない」と記している。

 日中国交正常化に伴う日台関係のあり方について「条約論避け政治的に処理/台湾帰属などで政府方針」との見出しで、日台条約の取り扱いについての政府方針を伝えている。

 海外情勢では「タンザニア軍が侵入/ウガンダ側が発表」との見出しで、アフリカのウガンダ軍の発表を伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。