復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉9月20日「振興開発計画答申に〝待った〟」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年9月20日の琉球新報1面トップは、「振興開発計画答申に〝待った〟/回避申し入れへ/きょう審議会で調整/復帰協・与党」との見出しで、沖縄県が20日の審議会で振興開発計画の大筋を固めて政府との調整に入る方針のところを、復帰協などの民主団体が、見直しが進められている高度経済成長路線を踏襲することなく、開発主体も明確にすべきだとの理由で拙速に計画策定することに反対する提案の動きとなっていることを伝えている。

 記事では、復帰強や県与党が早期計画策定に反対する理由として「政府の高度経済成長路線が総点検されている現段階でそれを踏襲するような計画であってはならない」「開発の主体、工業海発の性格を明らかにし、政府路線との争点を明確に打ち出すべきだ」を挙げている。

 全国的な政府の米価値上げの沖縄適用について「1日から値上げへ/消費者米価/政府、今週中にも結論」との見出しで、沖縄開発庁も「値上げやむなし」との方針で沖縄でも値上げ適用される見通しを伝えている。

 米軍相模原補給敞の戦車移送問題に絡み「修理の米戦車、『南』に貸与、条約に反せず/政府が統一見解」との見出しで伝えている。記事では大平正芳外相の参院内閣委員会答弁を紹介し「①米軍がベトナム紛争との関連でわが国の施設・区域を修理、補給のために使用することは、安保条約第6条の施設区域の使用目的に反しない②したがって修理された戦車がその後、ベトナム軍に使用されても、この修理活動は安保条約上排除されない③また日本で修理後、地域の米軍部隊に輸送されても、それは米軍内部の転用行為に過ぎず安保条約上は問題がない」との政府統一見解を掲載している。

 相模原補給敞からの米軍戦車移送問題で、米軍M113兵員輸送車両が搬出されたことを受けて「安保再検討が争点に/『相模原闘争』が口火切る」との見出しで、秋には基地や安保をめぐる論議が大きく焦点化する見通しを伝えている。

 日中国交正常化関連では「田中訪中へ準備完了/あすにも日程を発表」「椎名特派大使が帰国/台湾側、強い不満をみせる」「条約破棄すれば行動/国府スポークスマン声明」との見出しを掲げ、政府、自民党、野党、台湾側それぞれの動きを掲載している。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。