健診結果に異常、沖縄が全国最悪 11年連続 21年は初の70%台 労働局「由々しき事態」


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 沖縄労働局(西川昌登局長)はこのほど、2021年に県内の事業場から提出された定期健康診断結果をまとめ、検査項目に何らかの異常が見られた労働者の割合を示す「有所見率」が前年比0・9ポイント悪化の70・4%だったと発表した。11年連続で全国最下位の水準で、統計をまとめ始めた1992年以降最も高く、初めて70%を超えた。労働局は「由々しき事態」として企業に健康経営の取り組みを求めている。

 労働局、健康経営促す

 有所見率の10年間の推移を見ると、6・5ポイント悪化した。12年から17年までの伸びは0・9ポイントにとどまるが、21年までの4年間で5・6ポイント増えている。21年の全国平均は同0・2ポイント悪化の58・7となり、沖縄との差は11・0ポイントから11・7ポイントに拡大した。70%台は沖縄だけで、秋田69・0%、山形68・3%と続いた。

 健診項目別では血中脂質が42・6%と最も高かった。全国平均も血中脂質が33・0%で1位だが、沖縄は全国平均を9・6ポイント上回っており、他の項目と比べても最も差が大きかった。血圧が24・9%(全国17・8%)、肝機能が24・1%(全国16・6%)と続いた。尿(糖)を除く項目で全国を上回っている。

 業種別では製造業が80・6%と最も高く、建設業75・3%、運輸交通業74・7%と続いた。

 西川局長は「健康状態が悪ければ労災事故にもつながりやすく、人手不足が強まり企業経営も厳しくなる」と指摘する。さらに「働き盛り世代の健康問題が老後まで続けば、その負担は医療保険料として次世代にのしかかる」と述べ、従業員の健康増進は本人のみならず企業経営や社会にとってもプラスが大きいことを強調した。

 定期健診結果は、県内労働基準監督署が報告を受けた延べ1001事業場の受診者10万1290人のデータを基にまとめている。
 (小波津智也)