前原がサヨナラ勝ち チーム全員で流れ取り戻す 16強出そろう<県高校野球秋季大会>


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 第72回県高校野球秋季大会第10日は19日、沖縄市のコザしんきんスタジアムなどで順延や継続試合など2回戦4試合を行い、16強が出そろった。継続試合となっていた北山―沖縄カトリック戦は、北山が7-0の八回コールドで勝利した。美里工は北中城に、九回無死二塁から6番比嘉吏一の本塁打で3-2の逆転サヨナラ勝ち。沖縄工は豊見城を12-2の六回コールドで退けた。前原は具志川に4-3のサヨナラ勝ちを収めた。3回戦は23日、24日にそれぞれ4試合が行われる。

具志川―前原 9回、サヨナラのきっかけとなる崎原翔瑠の安打に湧く前原ベンチ=19日、コザしんきんスタジアム(大城直也撮影)

 相手に傾きかけた流れは、ベンチも含めたチーム全員で取り返した。初回に1点先制し五回に2点を加えた前原。六回まで無失点の堅守を誇ったが、終盤で失策が続くなどして失点。勢いづいた相手に最終回で同点を許すが、ベンチに諦めムードはなかった。

 「まだ同点よ」「上げていくよ」。九回表を守り終え、ベンチに引き揚げるナインを笑顔で出迎えるベンチメンバー。終始チームを鼓舞し続けていた伊是名識仁(しきと)は「チームに風を呼ぶのは俺。仲間を少しでも勇気づけたく、枯れるまで声を出した」と振り返った。

 その裏、応援に背中を押されるように先頭の9番崎原翔瑠(かける)が初球を左前に運んで出塁。1番久高將完(まさなる)の犠打で二塁へ。続く打席は2番銘苅碧人(あおと)。八回の遊撃の守備での失策に自責の念があった。「気持ちで(振りに)いった」3球目の直球を右前へはじくと、崎原がヘッドスライディングで生還しサヨナラ勝ちをつかんだ。

 チームは初戦も逆転勝ちだったが、それ以上に盛り上がり次戦に弾みを付けた。伊是名は「(先発)メンバーに入っていなくても関係ない。全員野球でやっていきたい」と団結を誓った。
 (金良孝矢)

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 ●最終回まで一人で投げ抜いた具志川の先発エース金城豪志 相手チームには中学で一緒に野球をしていたメンバーもいて、「大会で当たろうな」と話していた。勝ちたかったので残念だった。春季大会までに球種を増やし、秋季大会の結果を越えたい。