自衛隊配備「抑止高める」 防衛相が与那国駐屯地視察 有事懸念「丁寧に説明」


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隊員に訓示する浜田靖一防衛相=21日、与那国町の陸上自衛隊与那国駐屯地

 浜田靖一防衛相は21日、就任後初めて沖縄県与那国町を訪問し、陸上自衛隊与那国駐屯地などを視察した。視察後の記者団の取材で、有事の防衛施設の標的化や避難の実現性への懸念に対する認識を問われ、南西諸島の自衛隊配備を「わが国への攻撃の抑止効果を高める」と意義を強調した上で「必要性を丁寧に説明し、理解を得ていきたい」と述べるにとどめた。

 先島などでの有事を巡っては、宮古島市や石垣市が全島避難に数百機の航空機や数日の期間が必要と見積もっていることが既に明らかになっている。先島での有事に備えた避難シェルターの設置計画も浮上している。

 与那国駐屯地には陸自の与那国沿岸監視隊や空自の第53警戒隊の一部など、約200人が駐屯している。レーダーなどを用いて沿岸を航行する航空機、艦船などを監視している。

 23年度に配備を予定する電子戦部隊について浜田氏は「有事には相手の電波利用を無力化することで、陸上戦闘をはじめ、各種戦闘を有利に進めることができる」と強調した。「南西諸島における防衛体制を目に見える形で、強化したい」との認識も示した。

 浜田氏は駐屯地以外も、西崎にある日本最西端の碑なども隊員の案内で見学した。駐屯地視察では隊員らに訓示し「多くの離島を抱えるわが国にとって、島しょ部の守りは極めて重要だ」と激励した。

 視察の意義について記者団に聞かれると「与那国の地で常に緊張感を持ち、国を守るという崇高な任務に取り組む現場の隊員の姿を直接確認できたことは大変有意義だった」と語った。
  (塚崎昇平)