集合の合図は「プーッ」 宮城島の暮らし支えた100年前のラッパ見つかる 沖縄・うるま市


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懐かしそうに集落の信号ラッパを手にする根保清善さん=16日、うるま市宮城島のあごーりば食堂

 【宮城島=うるま】1世紀の時を経て―。老朽化に伴い、昨年、沖縄県うるま市宮城島の上原自治会の入る建物が解体され、古い倉庫の奥から一部変形した真鍮(しんちゅう)製のラッパが見つかった。100年以上前から、住民に集合を呼びかける手段として使われていた「信号ラッパ」だ。歴史ある一品を島内外の人に見てもらおうと、現在は地域団体SU-TE(新屋秋夫代表)が集落内で運営する「あごーりば食堂」に展示されている。

 信号ラッパの使用起源は詳細不明だ。「子どもの頃、島のお兄さんが吹いていた姿をよく覚えている」と話すのは、島でも長年教師を務めた根保清善さん(95)だ。「区の行事がある時は『プーッ』と1回、青年会の集合を呼びかける時は『プップッー』と音に違いがあったね。戦時中は出征兵士の見送りでも使われたそうだよ」と振り返った。

 根保さんが青年会で活動する25歳ごろにはラッパを見ることもなくなり、当時を知る人もほとんどいなくなった。

 島で生まれ育ち、根保さんの教え子にも当たる食堂代表の新屋秋夫さん(57)は「生まれ島の生活文化を知る一品なので、いろいろな世代に見てもらい、島の歴史にも興味を持ってもらいたい」と話した。食堂で常設展示している。

(石川優子通信員)