パインの茎から医薬品 東村に工場、24年稼働 ジェイドルフ製薬(滋賀)地元で4人採用


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ジェイドルフ製薬沖縄工場のイメージ図(同社提供)

 【東】痔疾患治療薬の製造・販売を手掛けるジェイドルフ製薬(滋賀県、越田博武社長)は、東村に沖縄工場を建設する。従来廃棄されていた同村産パイナップルの茎を活用し、原薬の「ブロメライン」を製造する。工場新設によって、原薬から製品化までを国内で一貫生産する体制を構築する。工場は2024年4月に稼働予定。28日に起工式が行われた。

 同社は東和薬品のグループ企業。輸入品の原薬「ブロメライン」を基に、痔疾患治療用の軟こうや錠剤を滋賀県の自社工場で製造している。ブロメラインの調達は海外メーカー1社からの輸入に依存しており、セカンドソースの確保が課題だった。

 コロナ禍などによる世界的な供給の不安定化や厚生労働省から各製薬会社に対し医薬品の安定供給の要請があったことから、原薬の材料となるパイナップルの生産が盛んな東村に国内製造拠点を新設することを決めた。

 沖縄工場では、村産の食用パイナップルの茎を搾汁し、遠心分離や凍結乾燥などの工程を経てブロメラインを抽出製造する。同社の年間必要量5トンの半分に当たる2.5トンの生産を目標に掲げる。工場は約1年後の23年秋に完成する予定だ。敷地面積は2万130平方メートル。既に4人を地元で採用し、滋賀県で研修に入っているという。

 起工式で、ジェイドルフ製薬の吉田逸郎会長は「これまで捨てられていたパイナップルの素材を有効活用し、国内で消費される薬剤の“地産地消”を目指す」と話した。當山全伸村長は「パイナップルの6次産業化が図れ、雇用にもつながる」と期待し、村内農家からの茎の確保に協力する考えを示した。 (岩切美穂)