沖縄リゾート&スポーツ専門学校2年の本中野雅(もとなかの・やまと、20)が、脳性まひ者7人制サッカー(通称CPサッカー)の日本代表として、27日からイタリアで開催される世界大会「ワールドチャンピオンシップ2022」に出場する。優勝を目標に掲げ、「個人的には少なくとも3点取る」と意気込む。22日、現地に向け出国した。
脳性まひは脳の損傷によって引き起こされる運動機能の先天的障がいで、本中野の場合は左手と左足に軽度のまひがある。日常生活はほとんど不自由なく過ごせるが、サッカーで走ったりドリブルしたりする時は、健常者より多少動作が遅れる。
父親の仕事の転勤に伴い2020年、高3の時に東京から家族で沖縄に移住。星槎国際高校那覇学習センターを卒業し、沖縄リゾート&スポーツ専門学校のスポーツトレーナー科へと進学した。
サッカーを始めたのは小学2年のころ。「ゴールを決めることに達成感と喜びを感じる」とのめり込んだ。
CPサッカーはフィールドの大きさやオフサイドがないほかは、ルールは通常のサッカーとほとんど変わらない。試合を公平に行うため、障がいを重い順からFT1、2、3と程度別に分け、「FT1の選手を1人以上、かつFT3の選手は1人以内」などの決まりがある。
FT2の本中野はフォワードのポジションを任されることが多い。ドリブルで切り込み、シュートが打てると判断したときは果敢に狙うことを心掛けている。19年にスペインで開かれたW杯で初めて日本代表に選ばれると、ドイツ戦で初ゴールを上げた。だが、ブラジルやイングランドなどには惨敗を喫し、苦い思いも経験。「世界との差を痛感し、とても悔しかった」と振り返る。
それ以降、練習量を増やし、沖縄移住後は健常者に混じりフットサルを一緒にすることで自身のレベルを上げてきた。「プレーの幅が広がった」と手応えを感じている。
今回のワールドチャンピオンシップではまず、予選リーグでコロンビア、デンマーク、エジプトと戦う。勝ち抜けば決勝リーグに進む。大会を直前に控え、本中野は「今、自分でどのくらいの実力があるのか確かめたい」と自信をのぞかせる。目標の優勝を果たすため、静かな闘志を燃やしている。
(砂川博範)