ウェルネス、創部5年目で初の九州 新たな歴史へ 県高校野球秋季大会


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 高校野球の第72回秋季大会第14日は1日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝2試合を行い、第151回九州地区大会(22~28日、県内開催)に出場する県代表2校が決まった。沖縄尚学は、第1シードで昨秋優勝の興南に8―1の七回コールド勝ちを収めた。2年ぶり16度目の決勝進出で、九州大会出場は4季ぶり26度目。ウェルネス沖縄は、糸満を4―1で下した。1年生大会を除いて県大会での決勝進出は初めて。九州も初出場となる。沖尚とウェルネス沖縄の決勝は2日午後1時から、同球場で行われる。2017年の秋季九州大会まで開催県の出場枠は4校だったが、18年から2校となっている。


 

熱戦を制し、決勝進出を果たしたウェルネス沖縄の宜野座凜主将(左手前)ら=1日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(ジャン松元撮影)

 念願の九州大会出場を決めた瞬間、ウェルネス沖縄の宜野座凜主将は感極まって涙した。頂点に立った昨年の1年生大会を除き、県大会での初の決勝進出と九州出場を決める歴史的勝利。「この大会に懸けてきたので、とてもうれしかった」と満面の笑みを浮かべた。

 創部5年目の新しいチームで、県大会出場は4年前から。沖縄市海邦の学校には専用グラウンドはなく、公共施設を使うなど「工夫」(五十嵐康朗監督)をして野球に打ち込んできた。青森山田を甲子園に導くなどしてきた五十嵐監督が3年前に就任し、県内外から選手が集まる。

 丸刈りが多い高校野球だが、基本的に髪型は自由。選手の個性が尊重されているが、いざ野球となると集中力と団結力が増す。昨年の1年生大会は強豪の興南を破る勢いを見せた。個性の強いメンバーを主将の宜野座がまとめ、きつい練習やプレッシャーに耐えてきた。

 この日は持ち味の攻撃力を生かし10安打4得点で勝利。試合終了後に仲間から「ナイスキャプテン」とたたえられた宜野座はさらに涙。「ここまでやってきたことは間違っていない」と自信につなげ、さらに新たな歴史をつくりに行く。

(金良孝矢)


上原律 度胸「100点」 完投、四死球なし7K

要所を締め、3試合連続の完投勝利を収めたウェルネスの上原律己(ジャン松元撮影)

 「しかばん(びびらない)」。ウェルネス沖縄エース上原律己の帽子のつばにはそう書かれている。マウンドに立っても動じないようにと野球部に入部した時に書いた。

 この日は強力な相手打線を散発5安打に抑え、7奪三振の快投でモットーを実践した。

 直球や低めの変化球の制球が定まり、「きょうは全部良かった。100点」と振り返った。少ないカウントで打者をアウトに取り、わずか91球で完投し四死球もなし。

 六回にバッテリーエラーで1点を献上しても慌てなかった。腕を振って早い変化球で的を絞らせず、バックも無失策でエースを支えた。

 目標はセンバツ出場。県大会決勝、九州大会でも動じず力を発揮する決意だ。

(金良孝矢)


糸満・前原が好救援 打撃は反省

救援登板し、好投した糸満の前原惺凪(ジャン松元撮影)

 糸満2番手の前原惺凪(せな)は二回途中から登板し、8回を被安打4、無失点に抑えた。二回、3点を失いなお無死二塁の場面でマウンドに立つと、後続を3人でぴしゃり。以降も好投を続けた。

 それでも「無駄な四球を出さず、抑えていたらチームにもっといいテンポをもってこられたかもしれない」とゲーム内容に渋い表情を見せた。

 チームでは打線の中軸も担うが、相手投手にチェンジアップと低めのスライダーなど緩急を付けた投球で手玉にとられ、「自分たちの打撃ができなかった」と反省する。

 「甲子園にいくには球速140キロ台の投手も打ち崩さないといけない。冬の間にしっかり鍛えたい」と前を向いた。

(大城誠二)