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「彼氏、彼女いるの?」はなぜアウト?ジェンダー表現のモヤモヤを共有 那覇で市民講座


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「暮らしの中のジェンダー表現を考える」をテーマに開かれた市民講座で話し合う受講者たち=9月15日、那覇市銘苅のなは市民活動支援センター会議室

 パートナーのことをどう呼ぶ? 「彼氏、彼女いるの?」はなぜアウト?―。「暮らしの中のジェンダー表現を考える」をテーマとする市民講座が9月15日、那覇市銘苅のなは市民活動支援センター会議室で開かれ、約20人が参加した。なは女性センターが主催する那覇市の男女平等週間の企画の一環。講師はスマートフォンアドバイザーのモバイルプリンスさんと、琉球新報デジタル編集グループの慶田城七瀬記者が務めた。ネットやSNSの普及で誰もが発信者となる時代に、ネットやテレビ、新聞などから普段接する情報に含まれる無意識の偏見や性別役割を助長する表現を考察した。

 講座の前半で講師2人から話題提供があり、後半には参加者がグループに分かれて、日頃目にするジェンダーのモヤモヤ表現について共有し合った。

 2人は新聞労連プロジェクトチームによる「失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック」(小学館)の編集・出版に関わった。慶田城記者からは、政治分野のセクハラなど女性差別について取材した記者たちが「メディアはどうなのか?」と取材先で聞かれた話などを紹介し、3月8日の国際女性デー報道では琉球新報社内の女性従業員や管理職の割合を公表したことに言及した。

 全国の記者たちとジェンダーの視点からみておかしな記事の表現などを集めてみたところ、誰もが発信者となる時代では一定の指針が必要ではないかという問題意識からガイドブック編集につながったことを紹介。その上で「メディアだけでは気づかないこともある。市民の皆さんが気づいた報道や記事の中のモヤモヤを指摘してもらって、ジェンダー平等な社会のためのより良い表現につなげていきたい」と話した。

 モバイルプリンスさんからはツイッターなどのSNSで繰り広げられるフェミニズムに関する投稿を一斉に批判する「フェミ叩き」などの投稿をスライドで紹介した。女性活躍の推進をうたう政治家らの記念写真に男性の政治家しか写っていないことなどへの違和感を投稿していることにも触れた。

 さらに、自身が出演するラジオ番組のCMで、母親は若くて美しくあったほうがいいというエイジズム(年齢差別)とルッキズム(外見への偏見)を根底に感じさせるストーリーがあったとし「CMの間、進行を考えて頭に入ってこなかったが最近気がついた。これは(広告審査機構などに)指摘しないとまずいレベルだと感じた」と述べた。

 講座では、事前に暮らしの中で感じたジェンダーのモヤモヤ表現を募集した。「愛妻弁当」「旦那さんやご主人」「イクメン」「男顔負け」「長男だからトートーメー継がないと」などたくさんの表現が集まった。これらの表現をもとにグループごとに議論した。

 あるグループでは、パートナーの対等な呼称をどう呼べばいいのかについて話題になり「妻と夫」や「パートナー」「お連れ合い」などが浮上。一方で「自分が身内を話題にする時は「旦那」「奥さん」などでも良いのではないか」などの声もあった。別のグループからの報告では、恋愛対象が必ずしも男性は女性、女性は男性に限らないから「彼氏・彼女いるの?ではなく、恋人やお付き合いしてる人は?など言い換えた方がいいと身近で話題になった」との報告もあった。

 参加者からは「意識しないと気づかないことが多い。考え続ける良いきっかけとなった」「新聞社の取り組みを聞いて、読者も指摘をして一緒に変えていきたいと思った」などの感想が寄せられた。