琉球新報社は4日までに、16日告示、23日投開票の那覇市長選に出馬を表明している無所属新人で「オール沖縄」勢力が擁立する前県議の翁長雄治氏(35)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=と、無所属新人で政権与党が支援する前那覇市副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=の2氏にインタビューし、最も訴えたい政策や経済対策などについて聞いた。それぞれ独自の市政運営の方向性を示し、県都・那覇市のリーダーへの意欲を示した。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設は主張に違いが出た。
(’22那覇市長選取材班)
―選挙戦の争点は。
「個々の有権者の判断になろうかと思う。(第5次)那覇市総合計画においてコロナ禍で非常に達成度が低い部分にどういう政策を打っていけるのかが焦点だと考える」
―最も訴えたい政策は。
「経済と福祉政策だ。物価高騰について政府の今後の打つ手を見ながら、どういう手が打てるかも重要になる。医療福祉従事者の処遇についても訴えたい」
―城間市政の評価と課題について。
「税収や子ども政策などを見ても着実に前進している。予算の目減りはソフト、ハード交付金の部分だ。副市長として苦労したのが予算を獲得する交渉とルートだ。そこをスムーズに進められる市政にするのが課題だ。沖縄振興特定事業推進費などを最大限活用し、積極的に取りにいきたい」
―コロナ禍で打撃を受けた経済をどう立て直すか。
「コロナ禍や物価高騰への緊急対策については国の出方を見ながら考えていきたい。企業の金融機関への返済期限が懸念されるので行政も連携して対応策を練っていきたい」
「企業の付加価値を伸ばすため、DX化推進を行政として背中を押したい。都市型マイスの展開や公園から雑草を全てなくすといった短期的な取り組みを進め、中長期的には軍港移設やLRT整備などを進めたい」
―那覇軍港の浦添移設について。
「強力に推進する立場だ。(跡地利用は)地主会と共同でしなければならない作業だが、跡地の可能性を調べる調査は次年度にも入れたい」
―普天間飛行場の辺野古移設について。
「県民は基地を挟んで右左と主張し合った苦悩の歴史、苦渋の決断を強いられる連続だった。そのような経緯を全て含んだ上で、おのおのの市町村の意思を尊重するべきだと考えている。現名護市長が推移を見守ると発言しているので、その発言を尊重したい」
―自身の強みは。
「集会などで聞かれる質問でも原稿なしで大体の質問には答えられる。(市役所での)38年の経験が大きいと思うが、自分なりの将来の展望も考えながらやってきた。そこが一番の強みになる」
―知事選の結果をどう受け止めるか。
「自公対オール沖縄という構図での結果だと思う。今回の市長選も果たしてそうなのか疑問を投げかけたい。私は市民党的立場で出たいと話しており、それで自公が支持を表明してくれている。構図が違う」
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ちねん・さとる 1963年9月生まれ、那覇市出身。沖縄大卒。85年に市役所に採用され、総務部長や政策統括調整監を歴任した。2015年から城間幹子市政で副市長を務め22年8月に辞職した。