中城湾港で11月に日米共同訓練 自衛隊の戦闘車輸送も 民間港使用拡大の恐れ


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陸上自衛隊が県内に輸送しようとしている16式機動戦闘車(陸自SNSより)

 自衛隊が11月に米軍との共同統合演習で沖縄県管理の中城湾港を使用し、105ミリ砲を搭載した最新鋭の装輪装甲車「16式機動戦闘車」(MCV)や、敵のミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を県外から輸送する計画を立てたことが5日までに分かった。関係者が本紙取材に明らかにした。県内から反発が予想されることからMCVなどの輸送は断念する可能性もある。

 演習では、民間チャーター船で県外から装備や人員を輸送する予定。MCVなどの輸送計画を断念した場合でも中城湾港は使用する見通し。県内の民間港使用を拡大する狙いがある。2021年には自衛隊統合演習で石垣市の石垣港や与那国町の祖納港など民間港を使って県内の反発を招いた経緯がある。

 MCVは県内に配備されていない。市街地での走行に適しているとされており、沖縄本島での地上戦を想定して素早く県外から運び込む体制を整えたい考えがあるとみられる。

 沖縄国際大の前泊博盛教授は「軍事訓練に民間地を使うこと自体がおかしい。日常生活に自衛隊の活動が加速度的に入り込もうとしている。沖縄を再び戦場にする恐れがある」と警鐘を鳴らした。

 防衛省は県や沖縄市など地元自治体に中城湾港利用の意向を伝えた。沖縄市によると、9月15日に防衛省担当者が市役所を訪れた。利用期間や輸送する装備は未定だと説明した。米軍は港を使用しない予定。防衛省は21年の演習でもMCVを中城湾港から県内に持ち込む計画を立てたが、反発を警戒して計画を変更。MCVを含まない陸自車両約80台を搬入した。