手打ちそば 昇段を目指し腕磨く やんばる倶楽部 沖縄で日本そば文化を普及


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講師が見守る中、段位認定大会に向けてそば打ちの練習をする会員。真剣にそば粉に向き合う=9月24日、名護市

 【北部】ソバ栽培に取り組む大宜味村で4年前誕生した「やんばる手打ちそば倶楽部」(宮城久美子代表)が、少しずつ会員を増やし、沖縄に日本そば文化を普及している。会員らは「健康に良く仲間もできて、おいしい。一石三鳥です」と笑い合いながら、そば打ちの腕を磨いている。

 9月24日、名護市の喫茶店で、11月に迫る全国麺類文化地域間交流推進協議会(全麺協)の段位認定大会に向けた練習が行われた。会員がタイマーで時間を計りながら麺を打つ。そば粉と強力粉と水を混ぜ、こねて綿棒でのしていく。集中する額に汗がにじむ。

 「のした麺の端はまっすぐに」。講師を務める全麺協5段の今川隆さん=兵庫県、小林浩さん=埼玉県=の助言が飛ぶ。麺を切って並べ、後片付けまで、制限時間は40分。3段を目指す安里早矢佳(さやか)さん(43)=名護市=は打ち終えて「無駄な動きなく、リズミカルに打つことが大事。今日は60点」と笑った。

 練習後は、打ったそばや菓子を食べながらの「ゆんたくタイム」だ。「これが楽しみ」と語る会員もいて、練習の真剣な空気とは対照的に、和やかな笑い声が響いた。

 同会は「大宜味和そば手打ち倶楽部」として2018年に13人で発足した。現在は中南部を含む男女30人が、初段7人、2段8人、3段1人、4段1人の有段者を中心に練習を重ねる。自分の店や民泊で、手打ちそばの提供を目指す人もいる。

 宮城代表は「自分で打ったそばは何よりおいしい。手先を使うので健康によく、仲間もできる。人材を育成し、いずれはそば打ちが北部観光のメニューになれば」と意気込む。各地で講師を務める今川さんは「とても熱心な倶楽部。数年後にはここから名人が出るのでは」と期待した。

 来年2月には大宜味村で段位認定大会を開催する。問い合わせは同会、電話090(3070)5206へ。
 (岩切美穂)