沖縄県職員のパワハラ相談、3年連続2桁で推移 上司からの言動、報復恐れで認定は少なく


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沖縄県庁

 沖縄県職員のパワーハラスメントに関して、県人事課に寄せられた相談件数が2019年度に倍増し、その後も2桁が続いていることが分かった。国は20年6月、企業にパワハラ防止対策を義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法を施行したが、県はこうした状況を背景に、ハラスメントに対する意識が県職員の間にも広く浸透したことを要因としている。

 県人事課へのパワハラに関する相談件数は17年度は5件、18年度は8件だった。しかし19年度は17件と倍増し、20年度は14件、21年度は10件と2桁を維持する状況が続いている。相談内容は上司から部下に対する言動がほとんどで、暴力行為や机をたたいて威嚇するなどの事例はなかった。

 一方、相談後に実施した調査でパワハラと認定された件数は、19年度は2件、21年度は1件で、17年度と18年度、20年度はそれぞれゼロだった。県は認定件数が少ない要因について、相談者が上司からの報復を恐れ、相談後の調査を希望せずに、自身の異動を求めるケースが多かったためとしている。

 県人事課は実態調査の信頼性向上を図るため、本年度から外部の有識者によるチェック制度を設けるなどの取り組みを進めており、「相談者が安心して対策や調査を求められる環境づくりを目指す」としている。さらに今後は県職員のパワハラへの理解を深めるため、全職員を対象とした動画研修やアンケート調査、管理職への研修などを計画している。

 県職員のパワハラを巡っては、県人事委員会も相談件数が19年度以降、増加している状況を受け、県に対して「公務運営の課題に関する報告」を4日に提出し、ハラスメント防止について勧告した。
 (武井悠)