復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月11日「嘉手納からも大量の鉛検出、普天間でも/公明党の米軍基地総点検で」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月11日の琉球新報1面トップは、「嘉手納からも大量の鉛検出/基準、大幅上回る/普天間でも/基地菜検査を要求/公明党/生活汚染による水質汚濁も」との見出しで、公明党がまとめた基地総点検で米軍基地の廃油による鉛公害と生活排水による水津汚濁の実態を報告している。記事では公明党の調査報告が「廃油のタレ流し、輸送管からの油漏れなどによる被害は付近の田畑、海、河川に及んでいると指摘している」と紹介している。

 那覇まつりの最終日の様子を伝える記事では「伝統の大綱引きに大観衆/延々1時間、またも引き分け」との見出しで、国道58号上で行われた那覇大綱挽きの様子を大きな写真入りで報じている。記事では「勝負は延々1時間にわたって繰り広げられたが、東西とも譲らず、結局昨年に続いて引き分けに終わった。国道58号線は大綱引き見物の約20万人の人波で埋まり身動きの取れない状態。那覇市民をはじめ、県下から集まった人たちは那覇まつり最後を飾る大綱引きに魅せられまつり気分を十分満喫した」と記している。

 復帰後、米軍の代わりに航空自衛隊が移駐する那覇空港に関して「緊急発進に支障/那覇空港滑走路工事で/来月配備の航自機」との見出しで、運輸省が11月15日から約4カ月半かけて実施する那覇空港滑走路のかさ上げ工事を夜間に実施するため、夜間のスクランブル対応ができないと防衛庁が頭を抱えているとの記事を掲載している。

 国会論戦に関して「安保論議再燃へ/政府、安保の円滑運用に努力」との見出しで、最大懸案の日中国交正常化を済ませた田中内閣にとって、月末からの臨時国会の論議の行方を占う記事を掲載している。 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。