13歳で右足切除、水泳一時辞めるも「自分次第で人生変わる」 パラ選手の秦さんが高嶺中で水泳教室 沖縄・糸満市


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腕を伸ばしてキックのやり方を説明する秦由加子選手=3日、糸満市大里の高嶺中学校

 【糸満】糸満市の高嶺中学校で3日、パラリンピックの2016年リオ、21年東京大会のトライアスロン日本代表で、2大会連続で6位入賞した秦由加子選手(41)の講演会と水泳教室が開かれた。

 秦さんは、13歳の時に骨肉腫で右足を大腿部から切除し3歳から続けていた競泳をやめた。自由に動き回る同級生を見るのが嫌で、中高6年間は体育の授業に一度も参加しなかった。

 「何で自分だけこんな目に遭うんだろう」。いつもそんな風に考えていた。転機は26歳の時、「得意だった水泳をやれば自分に自信が持てるかも」と、水泳を再開。その後、義足で仁王立ちする米国のサラ・レイナートセン選手の写真に憧れ、トライアスロンに転向した。数々の苦難を乗り越えてきた秦さんは、「人生は自分次第で大きく変わる」と語った。

 講演会の後、2年生を対象に水泳教室が開かれた。授業の終盤には、泳ぎが得意な生徒4人と秦さんがリレーで競った。リレーに参加した生徒(14)は「めっちゃ速かった」と興奮気味に話した。「秦さんは話す時につらそうな様子はなかったけど、自分だったら恥ずかしさと足を失った嫌な思いでできない」と続けた。

 他の生徒(14)は「自分が同じ立場だったら差別を受けないか不安で、学校に行けないと思う。その時は優しく声をかけてほしい」と話した。
 (比嘉璃子)