ソフト交付金10年で4割減…劇場「なはーと」整備にも影響 大型事業の財源、確保策は<那覇市の課題>①交付金


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那覇市民会館の後継施設として開館した那覇文化芸術劇場なはーと=2021年10月、那覇市久茂地

 23日投開票の那覇市長選は16日に告示を迎える。那覇市が抱える諸課題の中から、争点や重要な課題に位置付けられる一括交付金の減額、コロナ下で打撃を受けた観光、現市政が力を入れてきた子育て支援の三つについて現状や課題を探った。(’22那覇市長選取材班)

 政府の沖縄関係予算のうち、使途の自由度の高い一括交付金(ソフト交付金)の減額傾向が続き、那覇市財政にも影を落とす。交付決定額ベースでみると、2021年度は約32億円となり、制度が始まった12年度の約52億6千万円から4割減った。那覇市民会館の後継となる那覇文化芸術劇場なはーと整備に着工した18年度以降は30億円台後半で推移したが、事業が21年度で終了したことに伴い再び減額となる可能性がある。

 なはーと整備事業では当初、ソフト交付金の上限となる8割補助を見込んだ。12年度の交付金水準が続けば賄える算段だったが、交付金の減額が続いて難しくなった。

 市町村から募った事業を審査して採択する「特別枠」の活用などで補ったが、最終的に総事業費147億1千万円のうちソフト交付金は71億6千万円と、補助割合は半分程度にとどまった。交付金の減額に伴い、苦しい対応を余儀なくされた事例の一つだ。

 ソフト交付金は減額理由が曖昧だとも指摘されている。市の担当者はソフト交付金の減少が続けば「事業廃止や縮小せざるをえない事業も生じかねない。見通しが立てづらくなる懸念はある」と語った。

 新たな財源確保策として模索されているのが、民間活力の活用だ。

 市寄宮の市民会館跡地で計画されている新真和志支所複合施設では、設計から工事、完成後の維持管理までを民間事業者に一括発注する仕組みを導入する。民間ノウハウを活用して使いやすさの向上やコスト縮減が期待される。余剰容積部分に民間事業者が施設を整備することで固定資産税や土地代収入も見込める。