政治を身近なものに 沖縄県内の高校生が低投票率改善へ勉強会主宰、SNSで呼びかけ


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勉強会を主宰する喜多野樂さん(右)と東内原輝空さん=9月18日、那覇市おもろまちのサンエー那覇メインプレイス

 若者の低投票率の改善につなげようと、高校生が交流サイト(SNS)を通じて呼びかけ、勉強会を主宰している。政治を身近なものと感じてもらい、所得や教育など、同世代にとっても影響の大きい社会問題の解決につなげたい考えだ。

 喜多野樂さん(16)が東内原輝空さん(15)ら友人3人と7月に立ち上げたのは「OJH(オキナワ・ジャパン・ハイスクール)政経塾」。政治や経済の問題などを高校生で学び合う勉強会を企画、運営する。喜多野さんは選挙で投票することは社会問題の解決につながる機会だと考える。県内には県民所得や大学進学率が低いことなど若い世代に関係する問題が多くあるものの、若者の投票率は他の世代と比べて低調だ。これを疑問と感じたことが活動立ち上げのきっかけとなった。

 7月の活動開始以降、SNSを使い、高校生の参加者を募集し、県議を招いた勉強会や自主学習会を開催してきた。社会保障費の増大の問題や憲法9条の改正などをテーマにしてきた。

 同級生が政治に関心がない現状を肌で感じているという喜多野さん。政治や経済などのニュースを知るために新聞を読んでいるが、クラスメートからは不思議がられるという。9月の県知事選についてはクラスで話題になることはほとんどなかった。

 東内原さんは「学校で政治の問題について話すと、知識をひけらかしていると思われてからかわれる」と話す。「政治は高校生にとって真面目な話題というイメージ。政治の話をすると『真面目』だとアピールしているように思われてしまう」と嘆く。こうしたイメージを払拭するためにも、学習会ではさまざまな視点で問題を理解してもらうことを心がけている。

 政治的な立場の異なるゲストを一緒に招くなど工夫をこらす。喜多野さんは「多くの高校生が学習会に参加してほしい。政治や経済だけでなく、より身近で親しみやすいテーマも取り上げていきたい」と話し、社会に対する関心を高めていきたい考えだ。
 (狩俣悠喜)