【総評】沖尚、課題の得点力を向上 ウェルネス、創部5年目の快進撃 県高校野球秋季大会


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 第72回県高校野球秋季大会は、沖縄尚学が2年ぶり10度目の栄冠を手にして幕を閉じた。沖尚と準優勝のウェルネス沖縄は、来春の選抜大会の参考資料となる第151回九州地区大会(22~28日、県内開催)に出場する。14日に組み合わせ抽選を行う九州大会を前に、県大会を振り返る。

優勝を果たしダイヤモンドを一周する沖縄尚学のメンバーら=2日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(喜瀬守昭撮影)

■沖尚、打率4割超

 沖尚はチーム打率4割3分2厘の攻撃力で頂点に駆け上がった。1試合平均の安打数は13.4で、得点数は9.4。初戦は硬さもあったが、勝ち上がるにつれ状態は上がっていった。打線は上位から下位まで切れ目がなく、夏の選手権沖縄大会で課題だった得点力を向上させた。

 持ち味の堅守も光った。1試合平均の失点は1.4、失策は0.2。エース東恩納蒼は、準決勝で興南の強力打線を変化球でかわし、決勝は今大会初の9回を完投。チーム最多24イニングを投げ、防御率1・13の力投だった。

 青森山田を甲子園に導いた五十嵐康朗監督率いるウェルネス沖縄は、創部5年目で初の準優勝という快進撃を見せた。決勝では初回にいきなり2点を先制するなど勢いがあった。守備からリズムをつくるチームで、エース上原律己の快投がチームを引っ張った。

 第1シードの興南は、沖尚にコールド負けした準決勝以外は全てコールド勝ち。力のある1年生がベンチ入りし、チーム全体の底上げも図っていた。4強で唯一ノーシードの糸満は、継投と強打を武器に勝ち上がった。

■部活動の制限解除

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、部活動は「平日2時間程度・土日祝日3時間程度」と制限されていたが、9月29日に解除された。今後は野球に打ち込める機会が増える。新型コロナに負けず、伸び伸びとプレーする球児の活躍を期待したい。

 近年は学校単独で部員が足りず、他校と連合を組むなどして出場する状況もある。部活動のあり方を見つめ直す過渡期とも言える。

 九州大会の沖縄開催は2013年以来。当時は沖縄尚学が優勝、美里工が準優勝し、2校が翌14年の選抜大会出場をかなえた。今年の沖縄尚学、ウェルネス沖縄にも選抜大会出場の期待がかかる。九州大会での奮闘に注目だ。
 (金良孝矢)