復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月15日「政府、基地からの鉛タレ流し重視」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月15日の琉球新報1面トップは、「〝公害企業は受け入れられない〟/あす振興開発計画で議会報告/社会資本の充実図る/基地転用計画の作成へ」との見出しで、政府に提出する沖縄振興開発計画の県案の概要を掲載している。関連記事には「付帯意見書の可決も/議会の意思を反映させる」と、県議会での審議の行方も紹介している。

 嘉手納基地から廃油とともに鉛を流出している問題について「基地からの鉛タレ流し重視/政府/四省庁で検討/近く規制申し入れ」との見出しで、問題を重視している政府として米側への申し入れをどうするか協議しているとの記事を掲載している。記事では政府が「岩国基地でも鉛をたれ流しているため、在日米軍基地全体の問題として対策をたてることにしている」が、「環境保全の真空地帯になっている米軍基地内の立ち入り調査、規制をどうするかが問題になっている」と記している。

 11月19日投票の那覇市長選に関連して「いよいよ本番へ/那覇市長選挙/市議補欠選は少数激戦に」との見出しで、選挙戦に向けた攻防を伝えている。

、国政に関連しては「12月3日の投票有力に/首相『解散やむなし』」との見出しで、田中角栄首相が解散を決断したとの首相周辺筋の話を紹介している。年内解散となり、投票日の候補を12月3日との見立てを記している。

 国際情勢では「160人死亡/ソ連機、空中で爆発、墜落」との航空機事故、「20日に大平・ニクソン会談」と大平正芳外相とニクソン米大統領の会談がセットされたことを伝える記事を掲載している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。