復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月16日「沖縄振興開発計画、政府が12月末決定の意向」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月16日の琉球新報1面トップは、「沖縄振興開発計画/政府、12月末決定の意向/来月から集中審議/学識経験者委員、過半数は地元起用/25日に審議会初会合」との見出しで、沖縄振興開発計画の議論が沖縄県から政府側にいよいよ移っていく段階となっていることを伝えている。記事では「沖縄の審議会で答申された案や沖縄県原案の草案などは、すでに開発庁をはじめ、関係省庁にも届いているが、全体では異存はないようだ。だが、基地の扱いでは、日米安保条約がある現況下で『撤廃』という強い姿勢に当惑、25日から始まる審議会でも問題になりそう」と記している。

 関連記事では「意見書見て修正考慮/振興開発計画/県案ようやく決定」との見出しで、沖縄県が最終決定したと報じている。さらに別の記事では「振興計画で報告/焦点は『意見書』まとめへ/臨時県議会きょう招集」と県案を審議する臨時県議会が開かれるとの予定を紹介している。

 泥沼化しているベトナム戦争に関連して「近く戦争終結を確信/北ベ首相との会見で仏記者」との見出しで、英週刊誌オブザーバーに掲載されたフランスのジャーナリストのベトナム和平に関する論文の内容を大きく紹介している。さらに「完全撤退の代償に停戦か/米側の新和平提案」とベトナムを訪れた米軍幹部と南ベトナム側との和平交渉についての協議の様子を伝えている。それによると米軍側は、米国が南ベトナムから完全撤退して北爆と港湾の機雷封鎖を停止することで、北ベトナム側に米軍捕虜の釈放と停戦、南ベトナムへの北ベトナム軍浸透停止を求めたようだと伝えている。別の記事では「ニクソンは平和解決望まず/ベトナム人民軍機関紙論評」と南ベトナム側の視点も紹介している。

 10・21国際反戦デーに向けて「県下5会場で県民大会開く」との見出しで沖縄県内の動きを紹介している。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。