「国や県による調査を」米軍基地周辺の首長らが訴え 住民PFAS血中濃度検査で高濃度検出


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 「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」によるPFAS血中濃度検査で、米軍基地周辺自治体の住民から沖縄県大宜味村や全国より高濃度の値が検出された。対象地域の首長らは国や県による調査の必要性などを訴えた。

 最多の109人が参加した宜野湾市の松川正則市長は「結果は重く受け止めている。住民の不安解消や健康を守るために国や県と相談しながら何ができるかの調整をする必要がある」と述べた。

 沖縄市の桑江朝千夫市長は「健康被害が懸念されるため、国や県による広域的な調査が必要だ」とし「米側も基地内への立ち入り調査を認めるべきだ」と強調した。

 PFOS平均値が最も高かった北谷町の渡久地政志町長は「基地のない地域の平均値は低い。基地内が汚染源である蓋然(がいぜん)性が高まった」として、同町に特化した分析も依頼する考えだ。

 嘉手納町の當山宏町長は「町はPFASがほとんど検出されない石川浄水場を利用しているが町民からも検出されている。生活基盤が町外にあるなどさまざまな因果関係が考えられる。結果を精査したい」と語った。

 検査では、比較地域として、周辺に米軍基地がない大宜味村の住人も参加した。自身も検査に参加した友寄景善大宜味村長は「基地所在市町村と比べて数値が低く、違いが表れているのかなと感じた。県民を悩ませるPFASの問題解決につながれば良い」と願った。

 県保健医療部の糸数公(とおる)部長は結果の詳細を確認していないとしつつ「個人の血中濃度レベルが健康にどのような影響を及ぼすかについては、基準値などが定められておらず、医学的な評価が困難な状況だ」とコメントした。基地内の環境汚染対策については「関係部局で連携して取り組んでいく」とした。

 県環境部の金城賢部長も詳細を確認していないとしつつ、「断定はできないが、汚染源が米軍基地である可能性は否定できないのではないか」と指摘。「汚染をこれ以上拡大させないことが最も大事だ。汚染源を特定し除去するためにも、基地立ち入り調査と対策を日米両政府に引き続き強く求めていきたい」と述べた。

(新垣若菜、嘉陽拓也、安里周悟)