PFASの血中濃度、18歳未満の検査を 分析した京都大・原田准教授 沖縄県全域での調査も指摘


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 米軍基地がある沖縄、宜野湾、金武、嘉手納、北谷の5市町に加え、基地からの影響がないと想定される大宜味村の計6市町村で実施されたPFAS血中濃度検査。分析した京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)は全国調査より高い値が検出されたことから、水道水飲用、性別だけではなく、摂取経路を調べるための生活歴を含めた県全域での疫学調査が必要であると指摘し、その調査に基づいた健康対策を訴えた。また、今回は対象外だった、PFASの影響が大きいとされる18歳未満の子どもの検査の必要性も指摘した。

 PFASは米軍嘉手納基地に近い比謝、長田、天願の中部河川、基地内の嘉手納井戸群を取水源の一つとしている北谷浄水場の水道水から検出されている。これに対して、県企業局は河川・井戸群からの取水抑制、高機能粒状活性炭の導入などで対策を行っている。

 分析では、北谷浄水場から給水されている地域でPFOSの血中濃度の高低が生じていることについて、水道水以外の食物から摂取している可能性を指摘。また、北谷浄水場から給水されていない金武町でPFOAの高い値が検出されていることについて、地下水の汚染源を調べる必要性も指摘した。PFHxSについては、6市町村全ての値が環境省が全国で実施した2021年度「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果」より高く、原因を調べる必要があるとした。

 原田准教授は飲用水の購入や浄水器の設置など個人的な対策は「負担が大きい。行政がPFAS低減策を進めていく必要がある」と指摘。経口以外の入浴などでの摂取については「PFASが皮膚を通過する量は限られているという知見がある。水道水からの摂取より影響は少ないだろう」と説明した。
(安里周悟)