多国籍料理が集まる北谷町の宮城海岸。海岸沿いを歩いていると、ふわっとスパイスの香りが漂ってきた。広東料理を提供するテイクアウト専門店の「香港デリ」だ。香港出身の夫妻が3月にオープンした。八角が効いたチャーシューに、ぷるぷるのエッグタルト…。本格的な広東料理を目当てに、客足が絶えない。
店を切り盛りするのは、ダン・エイミーさん(45)と夫のレオン・ケンさん(44)夫妻。2016年に沖縄に移住。恩納村で外国人観光客向けのダイビングショップを営んでいたが、新型コロナで店を一時休業。「自分たちにできることをしよう」。沖縄にまだ少ない、広東料理の店を開くことを決意した。
香港スタイルの食堂「チャーチャンティン」の定番料理を提供する。料理は全てオーブンでじっくりと焼き上げる。県外に住む中国人や台湾人などが土産で持ち帰ることもあるという。
人気の広東チャーシュー弁当(1200円)は、ジューシーな豚肉に甘いしょうゆだれが絡んだ、白米が進む一品。八角やシナモンなどのスパイスを感じられる。カリカリに焼き上げたクリスピーポーク弁当(1200円)も人気だ。香港スイーツのエッグタルト(300円)は、県産卵と国産小麦、「宮古島の雪塩」を使った自信作。素朴な味わいとぷるぷるとした食感が特徴だ。
ダンさんは「メニュー数は多くないが、時間をかけて自信作を作っている。本場の味を届けたい」と笑顔を見せた。
営業は金曜から月曜で、午前11時から午後4時。売り切れ次第終了。問い合わせは、電話070(1381)1516。
(石井恵理菜)