復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月19日「海洋博高速道整備で基地縮小を検討、在日米大使館」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月19日の琉球新報1面トップは、「解散時期はずれ込む/12月10日に総選挙か/首相、補正成立に強気」との見出しで、国会日程と政局の動向について伝えている。関連記事に「4次防予算、再凍結へ」の見出しで、第4次防衛力整備計画を巡る予算案をフライングで議論したことに端を発する4次防予算問題で、与野党が「4次防の十分な論議の経過を待って、伸長に行なう」と臨時国会での論議を持って凍結を解除する方針を確認したとの記事を掲載している。

 沖縄島北部の海洋博会場と那覇を結ぶ高速道路建設に関連して「基地縮小を検討/在日米大使館、提案あれば話し合う」との見出しで、米側の姿勢を紹介している。記事では、在日米大使館筋の話として「①沖縄基地は復帰前に必要以上の基地がないよう縮小したのでハイウエーを建設するためにこれからさらに基地を縮小することはむつかしいと思う②しかし、日本政府から提案があれば、米側としては話し合う用意があり、満足行く解決がつくものと信じている」と述べたという。

 復帰後に国道331号になったにもかかわらず米軍が軍専用道路として使い続けている問題で「国道331号線、〝年内開放に努力〟/総合事務局あす調査を開始」との見出しで報じている。調査内容は「米軍が要求している立体交差、歩道橋、信号器、フェンスなどの安全装置がどの程度必要とされるか具体的に測量することになって」いるという。

 11月の那覇市長選で「決断と実行の市政/那覇市長選挙/市民協が方針を発表」との見出しで、翁長助静氏の支持母体の市民協議会の基本方針発表を伝えている。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。