「地域の理解、不可欠」 精神障がい者の復帰探る


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 精神保健福祉市民講座(県精神保健福祉士協会主催)が24日、那覇市保健所で開かれた。田崎病院の小林敬医師(診療部長)が「老いを迎える~老年期精神医学の立場から」と題して講演。討議で病院や保健所などの代表者が、精神障がい者が地域社会に円滑に復帰する方策を話し合った。

 討議で、那覇市保健所の東英二主査が市の相談窓口を紹介し「家族への働き掛けを含め、継続的な支援につなげている。一人で抱え込まずに相談してほしい」と呼び掛けた。地域社会への回復について「社会の偏見をなくし、受け皿づくりを進めていく」と述べた。
 精神障がいの元当事者や支援者は、グループホームの自助活動や、地域での清掃活動などを紹介した。
 NPO法人障がい者支援センターふくぎの大城和宏施設長は、地域の清掃などを続けていることを説明。警察に通報されることもあるなど、理解が進んでいない状況を紹介し「人や地域とつながることで世界が広がるのは、精神障がい者も同じだ」と地域との結び付きの重要性を強調した。
 小林医師は「社会が余裕をなくし、人々に不寛容が広がる中、精神障がい者を地域に送り出すには知恵が必要だ。県や市などの支援を得て、地域の人々に安心感を持ってもらうのも方法の一つだ」と助言した。