【深掘り】嘉手納防錆整備格納庫移設「見直し」が全会一致に至った経緯 地元の異議を党派超えて後押し


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防錆整備格納庫移設計画の見直しを求める決議、意見書を全会一致で可決した県議会本会議=18日午前、那覇市泉崎

 米軍嘉手納基地内の旧駐機場「パパループ」地区への防錆(ぼうせい)整備格納庫の移設計画を巡り、18日の県議会本会議は、計画の「見直し」を求める決議と意見書を全会一致で可決した。米軍の施設計画に与野党が一致して反対の意思を示した格好で、この問題に対して、超党派で取り組んでいく素地(そじ)ができたことになる。

 嘉手納町議会の決議は「即時撤回」を求めている。県議会の決議・意見書でも、当初は嘉手納町議会の決議と同様に「撤回」を盛り込んでいたが、自民会派が「見直し」とするよう提案した。県議会の与野党は、嘉手納町議会側の意向を確認しつつ全会一致となるよう文案を調整し、決議・意見書では「見直し」を求めることでまとまった。

 自民県議は「即時撤回となると、計画自体が消えるというイメージが強い。あくまでも住宅地に近い場所からの見直しを求めていくという姿勢だ。与党側も理解してもらい、歩み寄ることができた」と説明した。

 米軍基地関係特別委員会(軍特委)の照屋大河委員長も嘉手納町議会側と意見交換した上で、超党派で乗ることができる「見直し」との文言に落ち着いた形となった。

 18日に県議会議場で、県議会の決議を見守った嘉手納町議会の仲村渠兼栄議長は「県議会の各会派をまとめることは、難しいハードルだったと思う。そこを一つにした軍特委と議長に感謝したい。国に要請する場合、政権与党に訴えることを考えても、『見直し』になるのは仕方ないことだ」との理解を示した。今後は県議会の決議・意見書を踏まえた対応を協議し、町側の意見を日米の関係機関に届ける策を練る構えだ。
 (池田哲平、名嘉一心)