〈127〉夜勤者の健康対策 睡眠リズム気を付けて


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 ヒトの睡眠の在り方は時代や環境によって異なります。現代社会では1日1回眠る単相性の睡眠が主流ですが、ガス灯や白熱電球が登場する19世紀以前の社会では長い夜を照らす明かりは少なく、ヒトの眠りも二相性の分割睡眠が一般的だったようです。

 また日中にシエスタという比較的長い昼寝習慣を取り入れた文化圏もあれば、中華圏から東南アジアのように経済活動を夜型にシフトさせた「夜市」が発展した地域もあります。

 このようにヒトは文化や環境に応じて眠り方を変えてきましたが、睡眠のリズムは乱れないように気を付ける必要があります。しかし現代社会では、夜勤を含めた不規則な交代制勤務により生体リズムに不調をきたすことがあります。

 夜勤従事者の健康対策は、その勤務体系の在り方によって異なります。

 (1)「日勤が主体で夜勤が月に数回の勤務体系」の場合は主体となる日勤帯の睡眠リズムをキープすることが重要です。昼夜逆転のリズムとならないように、夜勤明けでも日中は寝すぎないように注意する必要があります。夜勤中の休憩時間に仮眠で対処するのも有効な手段の一つです。

 (2)「夜勤が主体で日勤は月に数回の勤務体系」の場合は、主体となる夜型生活をキープする必要があります。通常の勤務体系の人とは逆になりますが、休日も夜は寝ずに昼間は安定して眠れるリズムを保つ必要があります。

 (3)「夜勤と日勤が短期間で目まぐるしく変わる勤務体系」の場合は、ヒトの生体リズムに反するため労働者個人の対処法には限界があり、組織としての制度上の対応が必要となります。ヒトが眠る時間帯と活動する時間帯の位相を固定化するには少なくとも数週間はかかります。

 3交代制勤務の場合であれば勤務シフトの変更を数日単位ではなく数週間単位で「日勤」→「準夜」→「夜勤」というように、早番→遅番の流れでずらしていく方が生体リズムも順応しやすくなるでしょう。

(普天間国博、琉球大学病院 精神神経科)