復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月20日「米軍、那覇空港整備に横ヤリ『P3出動できぬ』」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月20日の琉球新報1面トップは、「米軍、那覇空港整備に横ヤリ/『P3出動できぬ』/滑走路工事危ぶまれる」との見出しで、海洋博など高まる航空需要に備えて運輸省の那覇空港滑走路のかさ上げ工事に対して、米軍が那覇空港のP3哨戒機が「出動は昼、夜間とも行われる」として工事に異議申し立てが出ているとの記事を掲載している。

 那覇空港の滑走路の舗装面は老朽化のため「穴ができたり、き裂が生じたりして痛んでいる」状態。運輸省は早急にかさ上げ工事を実施しようと11月15日ごろから、夜8時から夜明けまでの滑走路を閉鎖して実施する計画だった。これに対して米海軍から「P3の夜間出動が不可能になる」と異議が出された。これに先立ち自衛隊から「F104要撃爆撃機(11月から18機配備)の夜間スクランブル体制(緊急発進)に支障をきたす」と指摘があり、運輸省が対策・調整を進めようとしていたところに米軍からの異議申し立てだった。

 21日の国際反戦デーに向けては「あす10・21国際反戦デー/復帰協、自衛隊配備と対決へ/5会場で決起大会」との見出しで、ベトナム戦争即時中止や防衛力整備の4次防粉砕などを掲げて決起大会を開くとの予定を報じている。

 国政関連では「空前の派閥選挙に/自民、候補者選考に本腰」との見出しで、臨時国会での補正予算成立後の解散総選挙を見越して、自民党が公認候補の本格選考に入ったことを紹介している。また「円圧力強まる/新たな国際通貨危機も」との見出しで、大平・ロジャーズ日米外相会談で日米貿易の不均衡是正の実績を示せと米側から強く迫られたことの影響などを伝えている。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。