「平和の大切さ 心に」 両陛下、即位後初の沖縄訪問


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国立沖縄戦没者墓苑での供花後、沖縄戦の遺族らと言葉を交わされる天皇皇后両陛下=22日午後2時39分、糸満市摩文仁の平和祈念公園(小川昌宏撮影)

 天皇、皇后両陛下が22日、即位後初めて沖縄を訪問された。両陛下は糸満市摩文仁の国立戦没者墓苑で沖縄戦の犠牲者に対して供花した。沖縄平和祈念堂や県平和祈念資料館なども訪問され、苛烈を極めた沖縄戦についての説明を受けた。

 23日に開催される国民文化祭(美ら島おきなわ文化祭2022)の開会式出席に合わせた訪問。陛下の沖縄訪問は1987年に初めて足を運んで以降、計6回目となる。皇后さまは97年以来2度目の訪問となる。

 国立戦没者墓苑では県遺族連合会の戦争経験者から戦争体験を聞いた。県平和祈念資料館で案内人を務めた前川早由利館長によると、両陛下は砲撃で犠牲となった住民の写真の前で「大変痛ましい」と語った。天皇陛下は平和の礎の説明を受け、「こんなにたくさんの方がお亡くなりになったのですか」と述べられたという。

 前川館長は「大変優しいまなざしで、沖縄戦の状況を熱心に、かつ沖縄のことを理解しようとする姿が印象的だった」と述べた。

 両陛下は侍従を通して「沖縄戦の悲惨さや私たちが現在享受している平和のありがたさを思い、改めて平和の大切さを心に刻んだ」との感想を述べた。

 両陛下は宿泊先のホテルで、対馬丸記念館の高良政勝館長ら沖縄復帰50周年記念式典の参列者と懇談したほか、皇太子夫妻時代の2016年に交流した「豆記者」経験者らと再会した。終日、両陛下に随行した玉城デニー知事は「平和を求める沖縄に心を寄せていると感じた」と述べた。 (梅田正覚)