復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月24日「きょうから夜間断水」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月24日の琉球新報1面トップは、「〝政治〟ではなお積め必要か/米・南ベ会談/チュー大統領抵抗/停戦では進展みせる/キ補佐官帰国」との見出しで、「ベトナム和平」に向けた米国と南ベトナム政府との会談の様子を伝えている。2週間語に控える米大統領選もにらんで急展開の可能性も見越している。

 沖縄の日常生活に直結する問題としては「きょうから夜間断水/午後11時から翌日午前5時まで/県企業局、雨なければ隔日給水も」との見出しで、夜間6時間の給水制限が始まることを伝えている。記事では「昨年と同じように水不足に悩まされるはめにおちいった。とくに早朝出勤者のいる家庭やバー、レストラン、洗車場など夜間も水使用の多い業者は『貯水容器を準備しなければ…』と水対策におおわらわ。県企業局では『夜間制限給水はいまのところ解除の見通しがつかないし、今後かなりの雨量がなければ隔日給水の自体もある』と暗い見通しを述べている」と記している。

 国際電電(KDD)が中国政府との間で進める日中間海底ケーブル敷設計画をめぐって「沖縄・上海間が有力/日中海底ケーブル/世界通信網の中核に」との見出しで伝えている。記事では「この日中間の海底ケーブルを計画中の新太平洋、東南アジア両ケーブルと接続し、日本と中国通信の拠点とする構想も進められている」「現在、KDDでは沖縄ーグアムーハワイなどを結ぶ新太平洋ケーブル、東南アジアケーブルなど計画中だが、いずれも日本陸揚げ地点は沖縄。日中海底ケーブルを上海から沖縄に結べば、沖縄を接点にアメリカからヨーロッパ、東南亜細亜の通信も可能になる。いわば世界通信網構想が出来上がることになる。中国もこの構想には強い関心を示しているという」とも記している。

 公明党などの基地調査で沖縄基地の核・毒ガス貯蔵疑惑が高まる中、沖縄県議会与党が「基地の総点検要求/与党、基地司令官にも抗議/核・毒ガス問題」との姿勢を打ち出して行く方針を掲載している。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。