復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月25日「まもなく停戦発表/チュー大統領」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月25日の琉球新報1面トップは、「自然保全・基地整理軸に/『沖縄開発構想』原案どおり答申/国土開発審/産業開発を推進/新全総に組み入れる」との見出しで、沖縄の復帰に伴って新全国総合開発計画に追加する「沖縄開発の基本構想」について国土開発審議会が諮問案通りに答申したことを報じている。

 記事では、諮問案として「沖縄開発の方向を①わが国南の交流拠点として、東南アジア諸国など広く海外諸国との人的物的交流基地あるいは中継基地としての発展が期待される②あらゆる開発に優先して自然と文化を積極的に保全する③本土の7大都市圏と沖縄を結び、航空、海運、通信のネットワークの整備により、沖縄全域をほぼ2時間圏とし、本島全域を那覇市を中心に半日行動圏とする④開発をすすめる上で沖縄の米軍施設、区域は、できるだけ早期に整理縮小されるべきだ―など、位置づけている」と紹介している。

 ベトナム戦争の情勢を巡っては「チュー大統領がテレビ演説/まもなく停戦発表/〝三派連合には反対〟」との見出しで、チュー南ベトナム大統領がテレビ演説で和平についてのサイゴン政府の立場を表明している様子を掲載している。記事ではチュー大統領が三派連合の和解政府について「共産側が南ベトナムを乗っ取ろうとするずるいたくらみ」だと拒否、「停戦は国際監視の下に全インドシナで行われるべきである」と強調したと伝えている。さらに「近い将来、停戦が発表されるかもしれない。私は停戦が実施されたとき国民の安全を守るために必要な措置を命じた」とも述べたという。

 関連記事では「和平合意説を裏付けか」との見出しで、チュー大統領の演説を解説している。さらに「南軍はあくまで戦闘続行/国営サイゴン放送」とサイゴン放送の放送内容も紹介している。

 自衛隊配備が進められる沖縄の状況を踏まえて「年末に連日抗議行動/復帰協執行委/反自衛隊闘争で方針/7日に再度県民大会」との見出しで、復帰協議会の闘争方針を伝えている。隣の記事では「宮古空港/自衛隊の使用拒否/県、反戦平和の立場貫く」との見出しで、航空自衛隊が緊急時とそのための訓練に宮古空港を使用したいとの申請に対し県が使用させない方針を空自に伝えたことを紹介している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。