【識者談話】石西礁湖サンゴ白化、最大の要因は? 中村崇・琉大准教授


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中村崇・琉球大准教授

 石西礁湖の全域で大規模な白化が進んでいることが明らかになった。2016年の大規模白化以降、成長途中だった比較的若いサンゴ群体の多くが被害を受けている。

 全域と言っても、場所間の差が広がっているという見方も必要だ。石西礁湖中央部近辺の浅場では「健全」な状態のサンゴがほぼ確認できず、海底が生きたサンゴに覆われている割合(被度)は十分回復していない。今後、大規模な白化が繰り返されると、そのほかの地点でも被度の低下が、回復速度を大きく上回ることになる。

 今回の調査で示された完全白化や白化途中(薄色)のサンゴが元の健全状態に回復するか、そのまま死亡するかは、数カ月後の追跡調査結果と合わせた分析が必要だ。

 大規模白化の最大要因は地球温暖化に起因する異常高水温状態にある。一方で、陸域からの流入物が重要な回復を妨げている可能性がある。今後のサンゴ群集の回復過程において定着・生存・生育など、自然回復に欠かせない環境条件を明らかにしながら維持することも大事だ。
 (サンゴ礁生物生態生理学)