アンプティサッカーのエース ブラジル県系3世 松茂良・ジアス・エンヒッキさん


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アンプティサッカーをプレーする松茂良・ジアス・エンヒッキさん(提供)

 病気や事故などで片脚をなくした人が杖を使ってプレーする、アンプティサッカーのワールドカップ(W杯)が10月にトルコで開催された。日本代表で10番を背負うエース、松茂良・ジアス・エンヒッキさん(33)はブラジル出身の県系3世だ。2008年に来日して日本協会を設立し、長年競技の普及に努めてきた。「あと15年は選手として活躍して競技を広げていきたい」と目標を掲げる。

 5歳の頃、サンパウロ市内で交通事故に遭い右脚を切断したが、ハンディを悲観的に捉えることはなかった。買い物に行くといった小さな挑戦を積み重ねるうちに「やれば何でもできる」という自信が身についた。

 競技を知ったのは10歳の時だ。練習を重ねて13歳で初めて出場した大会で新人賞を獲得。18歳でブラジル代表に招集されW杯に出場した。高校卒業後に来日したが、日本に競技がなかったため自ら協会を発足し、クラブチームを結成した。それから5回のワールドカップに出場し、日本選手権は3度優勝している。
 
 W杯は今回から各大陸の予選を勝ち抜いた国のみが参加できるようになった。日本は5勝2敗で11位となり、松茂良さんは5得点を挙げた。4年前の10位から順位こそ落としたが「総合的にプレーのレベルが上がった。新しい選手もチームに入り今後に期待できる」と手応えを示す。
 
 母方の祖父母が那覇市出身。祖父母の家で沖縄そばを食べるなど小さい頃から沖縄が身近にあった。沖縄に住んでいた伯父や伯母を訪ねるため来沖する機会も多かったという。
 「沖縄の思い出はいろいろある。タイミングが合えばぜひウチナーンチュ大会に参加したい」と意欲を語った。
 (古川峻)

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<プロフィル>

 まつもら・じあす・えんひっき 1989年6月16日生まれ。ブラジル・サンパウロ市出身。東京在住。アンプティサッカー日本代表。2007年にW杯でブラジル代表として4位入賞。10、12、14、18、22年は日本代表として出場した。FCアウボラーダに所属。

『小さな挑戦を積み重ね、「やればできる」という自信がついた』アンプティサッカーのワールドカップトルコ大会に出場した松茂良・ジアス・エンヒッキさん(右端)(C)日本アンプティサッカー協会