女性に多様な働き方 「プラチナえるぼし」認定 オリックスBC沖縄 在宅・フレックス・時間休 業務効率を可視化


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徹底した業務の可視化で誰もが働きやすい環境を作っているオリックス・ビジネスセンター沖縄=那覇市おもろまち

 管理職の女性割合は8割に上り、時間外労働は月平均3時間。女性活躍推進の実績が特に優れているとして、厚生労働省の「プラチナえるぼし」に九州・沖縄の企業で初めて認定されたオリックス・ビジネスセンター沖縄(那覇市、小林健太社長)は、業務の徹底した可視化を通じて多様な働き方を確保している。

 オリックスグループの事務部門などバックオフィス(後方支援)業務を担う同社は、在宅勤務やフレックス勤務、時間有休など、働き方の選択肢が多い。2000年の会社設立時から勤務する執行役員の平良一恵さんは「これらが可能なのは業務の可視化をしているからだ」と話す。

課題を正確に把握

 実際に社内で行われている業務とそれに付随する作業を全て書き出し、作業ごとの時間を計測する。標準的な作業時間を定め、従業員ごとの業務稼働率のばらつきやスキル分析、チームごとの業務の繁閑差、業務ごとのコストなどを算出し、KPI(重要業績評価指標)を設定している。

 小林社長は「KPIと実績の差分が課題。課題はできていないと責めるためのものではなく、解決していくもの。課題の抽出と解決を繰り返している」と語る。

 徹底した業務の可視化に取り組むようになったきっかけは08年のリーマンショックだ。世界的不況の影響で、オリックスグループもバックオフィス業務の効率化を図ることになった。沖縄はバックオフィス業務が集積しており、必然的に業務改善が進められた。

 注目したのはチーム間の繁閑差。平良さんは「子育て中の女性は早く帰りたいから、みんなで助け合って早く帰るためのプロジェクトを始めた。必要だったのが業務を定義するための可視化だった」と振り返る。

女性管理職育成

 女性が多い職場でも管理職となると男女比が逆転する企業も少なくない中で、オリックス・ビジネスセンター沖縄の管理職に占める女性の割合は8割を超える。小林社長は「管理職の仕事で一番大きいのは課題解決。実績のある人を評価していったら自然とこうなった」とする。

 平良さんは「女性リーダー育成には制度も大事だがメンタル面でのサポートがもっと重要だ」と強調する。キャリア志向の女性には外部研修を実施。子育てと仕事の両立に悩む女性には身近なロールモデルである女性管理職が、自身の体験を踏まえアドバイスするなどして支える。

 今後は標準化されている業務や労働集約的な業務はテクノロジーを活用し自動化し、人は付加価値の高い業務に転換を目指す。そのためのデジタル研修もスタートさせた。小林社長は「付加価値の高い仕事ができれば所得も上がる。DXと同時に人材教育に力を入れていく」と力を込めた。

 (玉城江梨子)