復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉10月27日「ベトナム和平で合意」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年10月27日の琉球新報1面トップは、「ベトナム和平で合意/『北』秘密交渉の経過発表/米に31日調印迫る/米軍、60日内に撤退/9項目の協定成立」との見出しで、ベトナム戦で北ベトナムが米側と和平9項目に合意したと発表したことを報じている。米酷と南ベトナム政府は反応していない。

 記事では「キッシンジャー米大統領補佐官の6日間にわたる異例のサイゴン訪問、そしてチュー南ベトナム大統領の24日の演説が早期停戦をにおわせていたことから、米・北の和平交渉が大詰めに来ていることは予想されていたが、ハノイは、最後の難関チュー大統領に対する米国の〝決断〟を迫るため、一挙に協定の全容を公表したものとみられる」と背景を解説している。

  関連で「米の譲歩に衝撃/サイゴン」や「米、合意認める/キ補佐官、31日までには解決可能」との見出しで、米側も北ベトナムとの停戦に向けた交渉の内容追認、各方面の反応を伝えている。

  米軍のB52戦略爆撃機が約90機、26-27日にかけて嘉手納基地に飛来してきたことを伝える記事では「B52/飛来、120機に/定型化する〝自由使用〟」との見出しを掲載している。記事では「米軍にとって、嘉手納基地が〝有事駐留〟あるいは実質的な〝常駐基地〟になる可能性もあるとの見方が強い」と指摘している。

 関連記事で「米に厳重抗議/屋良知事が談話発表」や「刺激が大きい、分散避難を/外務省が申し入れ」と報じている。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。